長崎大学第一内科講師の川上純氏

 診断未確定関節炎(undifferentiated arthritis:UA)のうち、1年以内に関節リウマチRA)に進展するものを予測する診断基準として有効なのは、MRIによる手指関節の骨髄浮腫所見、抗CCP抗体あるいはリウマトイド因子IgM-RF)などの自己抗体の2項目であることが示された。長崎大学第一内科講師の川上純氏が、4月23日〜26日に東京で開催された第53回日本リウマチ学会総会・学術集会で、RAを早期に予測する診断基準とその妥当性、基準を用いた早期の治療介入試験を紹介した。

 早期の関節炎の中にはRAなどの診断がつかないUAが相当数あるが、そのうち35〜50%は1年以内にRAに進展するという報告が海外でされている。一方で、早期からのRA治療の重要性がますます強調されていることから、川上氏らは早期RAの分類基準「Nagasaki score」を以前に報告。Nagasaki scoreでは、(1)抗CCP抗体あるいはIgM-RF、(2)MRI画像による対称性手・指滑膜炎、(3)MRI画像による骨髄浮腫あるいは骨浸食――の3項目について、2項目以上が陽性ならばRAに進展する可能性が高いとした。

 このNagasaki scoreを実際のUA患者129例に当てはめ、1年後のRAへの進展を追跡すると、感度は68.0%で、特異度は75.9%だった。早期からの治療介入に適した患者を選択することが目的である以上、より高い特異度が求められる。そこで、診断項目と予後の関係を詳細に検討すると、自己抗体(抗CCP抗体あるいはIgM-RF)、手指関節の造影MRI所見における骨変化の2項目が陽性の場合、全例が1年後にはRAに進展することが分かった。

 川上氏らは、さらに臨床現場でのMRI使用を想定し、非造影MRIの所見について検討した結果を報告。骨髄浮腫の所見の診断能については、非造影MRIでも造影MRIと同等だった。「簡便性、コスト、造影剤の副作用リスクなどを考えると、自己抗体の検査と非造影MRIによる骨変化の確認が現実的な早期診断法と考えられる」という。

 以上の早期診断基準を治療に活用するため、RAへの進展が見込まれるUAの患者に対して早期治療(メトトレキサートあるいはサラゾスルファピリジン)を実施する「NAGASAKI Early Arthritis Intervention Trial」を川上氏は最後に紹介した。UMINでの登録が2009年1月から始まっており、RAへの進展の阻止、寛解の導入などをアウトカムとしており、抗リウマチ治療の中止、いわゆるドラッグフリー寛解の判断基準としてMRI所見も活用できないかを検討する方針だ(試験の概要はこちらの別掲記事を参照)。