横浜市立大学医学部リウマチ・血液・感染症内科の上原武晃氏

 ベーチェット病網膜ぶどう膜炎患者に対して、早期からインフリキシマブの投与を開始することで、年齢にかかわらず著明な視力の回復が認められた。4月23日から26日まで東京で開催されている第53回日本リウマチ学会総会・学術集会で、横浜市立大学医学部リウマチ・血液・感染症内科の上原武晃氏らが報告した。

 ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎に対し、わが国では世界に先駆けてインフリキシマブの適応が認められ、実地臨床における使用経験が蓄積されつつある。網膜ぶどう膜炎は有効な治療法がなく、失明に至ることも少なくなかった。しかし、インフリキシマブの導入によって視力の回復、眼発作回数の減少がもたらされ、失明率の改善が期待されている。上原氏らは、インフリキシマブを投与したベーチェット病網膜ぶどう膜炎患者の臨床経過を呈示した。

 上原氏らの施設でインフリキシマブの投与を受けたベーチェット病網膜ぶどう膜炎患者は11例(男性9例、女性2例)、平均年齢は35.3±15.8歳(範囲17〜70歳)であった。眼症状の発症からインフリキシマブ導入までの期間は、平均5.7±4.4年(範囲1〜13年)で、2年未満の早期症例が4例含まれていた。全例が口腔内アフタを合併していたほか、毛のう炎皮疹は7例、結節性紅斑は7例、外陰部潰瘍は6例、関節炎は3例で認められた。

 前治療として全例にコルヒチンが投与されており、他にシクロスポリンが6例、プレドニゾロンが2例、アザチオプリンなどの免疫抑制剤が1例に投与されていた。インフリキシマブ投与後の併用薬はコルヒチンが4例、免疫抑制剤が1例であった。

 結果は、年齢にかかわらず早期からインフリキシマブの投与を開始することで著明な視力の回復が認められた。また、6カ月当たりの眼発作回数は2.4±0.6回から0.8±0.8回に減少し、インフリキシマブの使用成績調査(3.38回→0.85回)と同様の成績であった。

 ツベルクリン反応陽性の4例では、抗結核薬イソニコチン酸ヒドラジドリファンピシン)による化学予防を行ったが、インフリキシマブ投与中、結核を含む感染症の合併は認めなかった。

 また、白内障3眼、緑内障1眼の手術が行われたが、合併症や発作の誘発はみられなかった。さらに、シクロスポリンによって発熱および頭痛、左半身不全麻痺などの神経症状を呈した症例においても、インフリキシマブは問題なく使用することができた。

 以上の検討から上原氏は、ベーチェット病網膜ぶどう膜炎に対してインフリキシマブは有効性および安全性が高く、早期導入によって長期的な視力予後の改善が期待できると述べた。