国立病院機構盛岡病院リウマチ科の千葉実行氏

 2003年以降の関節リウマチ(RA)患者における悪性腫瘍発症率は、一般人口と変わらないことが確認された。これは、NinJa(iR-netによる関節リウマチデータベース)を利用した解析結果。4月23日から26日まで東京で開催されている第53回日本リウマチ学会総会・学術集会で、国立病院機構盛岡病院リウマチ科の千葉実行氏が発表した。

 この調査は、2003年度から2007年度に登録された22万2855人・年のRA患者を対象に、悪性疾患の新規発症数を解析したもの。その結果、男性59人、女性107人の計166人で悪性腫瘍が認められた。

 この166人において、厚生労働省による悪性新生物年齢階級別罹患率を用いて、標準化罹患比(SIR)を算出した。その結果、男女とも、一般人口における悪性腫瘍発症率と差がないことが確認された。

 癌種別では、女性の結腸癌(SIR=0.34)、女性の直腸癌(SIR=0.41)の発症リスクがRA患者で低く、女性の悪性リンパ腫(SIR=3.39)、女性の膀胱癌(SIR=4.02)の発症リスクがRA患者で有意に高いことが確認された。結腸直腸癌の発症リスクが低下することについて千葉氏は、「長期間のNSAIDsなど鎮痛薬の利用が抑制的な効果を示すためだろう」と語った。

これまでに発表された調査研究でも、一般人口と比べたRA患者の悪性腫瘍発症率に差がないことは示されているが、血液腫瘍、特に悪性リンパ種の発症リスクは高いことが明らかになっている。一方で結腸直腸癌の発症リスクが低いことも報告されている。

 今回の発表から、積極的なRA治療法として、抗リウマチ薬メトトレキサート(MTX)、生物学的製剤が利用されるようになった2003年以降でも、国内におけるRA患者の悪性腫瘍発症リスクは、それ以前と同様の傾向を持つことが示された。