鹿児島大学小児科の鍬田直美氏

 初期からの免疫抑制剤療法の導入により、小児全身性エリテマトーデスSLE)の予後が改善していることが全国調査の結果、示された。鹿児島大学小児科の鍬田直美氏が、4月23日から26日まで、東京で開催されている第53回日本リウマチ学会総会・学術集会で発表した。

 鹿児島大学では、1980年から1994年に受診した小児SLE症例155人を対象にした全国実態調査を実施している。今回は1996年から2006年に受診した症例を対象に、再度、調査を行い、前回の調査とも比較した。

 調査では、日本小児リウマチ学会SLE調査グループのメンバーである小児リウマチ医に調査表を送付、患者の背景、診療症状、治療方法、予後などを調査した。その結果、373人のデータを得た。373人の男女比、発症年齢、SLEの家族歴、罹病期間は、前回の調査と有意差はなかった。

 前回調査との有意差がみられたのは、腎障害の内容だった。前回の調査では、経過観察中の腎病理組織型は罹患期間が長くなるにつれて悪化しており、WHO病理組織分類におけるクラス4の患者の頻度は、罹患期間1年未満では36.8%だったが、罹患期間5年以上では、55.6%に増加していた。

 一方、今回の調査では、腎病理組織型の改善が確認された。罹患期間1年未満で36.5%の患者がクラス4だったが、罹患期間5年以上ではクラス4は10.0%に減少していた。

 腎病理組織の改善は、投与された薬物療法の種類に依存しており、初期からのシクロホスファミド間欠大量静注(IVCY)療法などの免疫抑制剤を受けた患者では、当初6割程度だったクラス4患者の割合が3割弱程度まで減少していた。一方、免疫抑制剤の投与を受けなかった患者群では、クラス4の割合に大きな変化は見られなかった。

 全身の臓器障害を反映するDamage Index(DI)についても、初期から免疫抑制剤を導入した患者群では有意に改善していた(p=0.0022)が、免疫抑制剤を利用しない患者群では改善効果が確認されなかった。

 一方、今回の調査における罹病期間5年における死亡例は2人(1.3%)。1人は怠薬、1人は腸管穿孔によるものだった。この死亡率は前回の死亡率3.6%(13人)に比べて、約3分の1の減少となっていた。

 鍬田氏はこれらの結果から、「治療初期からのIVCY療法などの免疫抑制剤の利用が臓器障害を改善し、生命予後の改善に寄与していると考えられる」とまとめた。