国立病院機構名古屋医療センター整形外科リウマチ科の金子敦史氏

 わが国では現在、インフリキシマブ(IFX)とエタネルセプト(ETN)という2種類の生物学的製剤の使用が可能である。国立病院機構名古屋医療センター整形外科リウマチ科の金子敦史氏らは、(1)IFX+メトトレキサート(MTX)、(2)ETN+MTX、(3)ETN単独の3群の骨関節破壊抑制効果をX線学的に比較した結果、ETN単独群は骨破壊抑制効果において他の2群に劣ると結論した。また、IFX+MTX群が最も手術発生頻度の低いことも併せ、第52回日本リウマチ学会で報告した。

 対象は、同センターに通院治療中の関節リウマチ(RA)患者のうち、上記3種のいずれかによる1年以上の薬物治療歴を有し、過去に手足の関節手術歴のない84例の患者である。内訳は、IFX+MTX群が38例、ETN+MTX群が32例、ETN単独群が14例である。金子氏らは、これら3群の患者を1年間にわたって追跡し、治療前後のvan der Heijde変法Sharpスコアの変化を比較した。

 その結果、総Sharpスコアの変化量(ΔTSS)は、IFX+MTX群が2.27、ETN+MTX群が2.25と良好であったが、ETN単独群では8.8ポイントの増加が認められた。特に、骨びらんスコアの増加は約7ポイントと著明であった。なお、IFX+MTX群とETN+MTX群のΔTSSはほぼ同様であったが、前者は関節裂隙狭小化の抑制、後者は骨びらんの抑制に優れるという違いがみられた。

 また、TSSを罹患年数で除した1年当たりの予測進行ポイント(EYPR)においては、IFX+MTX群とETN+MTX群では、1年後には疾患の進行が有意に抑制されていた(ともにp<0.01 vs. 治療前)のに対し、ETN単独群のEYPRは治療前とほとんど変わらなかった。

 また、金子氏らは、これら3群におけるRA関連手術の件数についても比較を行っている。その結果、ETN単独群では患者100人あたり年間21.2件ものRA関連手術(うち人工関節置換術が17.4件)がなされていたが、ETN+MTX群では9.77件(同8.79件)、IFX+MTX群では4.95件(同3.09件)と、大きな差が認められた。

 以上より、少なくとも関節破壊の抑制という面では、TNF阻害薬はMTX併用下で用いるべきであり、併用なしでは効果は期待できないことが明らかにされた。また、MTX併用下であれば、IFXとETNの関節破壊抑制効果はほぼ同等だが、RA関連手術を回避できるチャンスはIFXの方が大きくなるとの可能性が示唆された。今後、IFXとETNの使い分けを考えるうえでの参考となる知見といえよう。