九州大学整形外科の中島康晴氏

 関節リウマチでは、疾患活動性の制御が比較的良好であっても早期から関節破壊が進行するケースがあり、特に荷重関節の破壊はADLを大きく低下させる。九州大学整形外科の中島康晴氏らは、インフリキシマブ(IFX)使用患者とMTX使用患者の関節破壊進行程度を画像的に比較することにより、IFXは小関節に加え、荷重関節に対しても関節破壊進行を抑制することを、第52回日本リウマチ学会で報告した。

 対象は、IFX投与開始後、少なくとも1年以上経過した症例(IFX群:n=37)、およびMTXを主なDMARDsとして使用した症例(MTX群:n=39)である。両群患者の年齢、罹病期間、MTX量、PSLの併用率や量などの背景因子には有意差はなかった。また、ベースライン時のDAS28(CRP)はIFX群で有意に高かった(5.1 vs 2.8、p<0.05)が、治療後の改善により、両者の差は消失した(2.4 vs 2.7)。

 中島氏らは、まず、これらの患者の手指および足趾小関節の関節破壊をvan der Heijde変法Sharpスコアにて評価し、治療前後のスコアの増加量(ΔTSS)を比較した。その結果、ΔTSSはMTX群の3.10に対してIFX群では0.38であり、IFX群において有意な抑制が認められた。また、関節破壊が進行した患者比率も、MTX群の46.2%に対してIFX群では21.6%と少なかった。さらに、MTX群では改善を示した症例は皆無であったのに対し、IFX群では13.5%の患者に改善が認められた。

 IFX群におけるΔTSSの「改善」および「進行」を、関節裂隙狭小化骨びらんに分けてみると、「進行」では関節裂隙狭小化と骨びらんの双方が同程度に進行していたが、「改善」はほとんどが骨びらんの改善に基づくものであり、関節裂隙狭小化の改善例はわずかであった。この点について中島氏は、「関節裂隙狭小化の改善には、別の標的分子を考える必要があるのかもしれない」と述べている。

 続いて同氏らは、これらの患者の荷重関節計204関節(股関節63、膝関節67、足関節74)の破壊の程度をLarsenスコアにて評価し、治療前後のスコアの増加量(ΔLS)の比較を行った。その結果、ΔLS はMTX群の0.70に対してIFX群では0.062であり、小関節と同様に荷重関節でもIFX群における有意な抑制が認められた(p<0.05)。また、進行を示した患者比率は、MTX群の15.4%に対してIFX群では13.5%、改善を示した患者比率はMTX群の0%に対してIFX群では7%であった。

 以上より、小関節・荷重関節のいずれにおいても、IFX使用例ではMTX使用例に比して有意な関節破壊の抑制が認められ、関節予後の改善が期待された。