富山大学医学部整形外科の松下功氏

 富山大学医学部整形外科の松下功氏らは、昨年の日本リウマチ学会において、生物学的製剤の使用により、足関節距骨下関節では修復を認める関節が存在すること、股関節膝関節では、治療開始時の関節破壊の進行(Larsen grade)によって関節破壊抑制への期待値が異なることなどを報告した。今回、より長期の観察データを得た同氏らは、関節の温存・修復効果は少なくとも2年以上持続すること、破壊された大関節を修復するには、やはり限界があることも明らかにし、第52回日本リウマチ学会で報告した。

 対象は、2年以上にわたる生物学的製剤投与が可能であった42〜75歳の関節リウマチ(RA)患者30例(うち男性4例)で、使用した生物学的製剤はインフリキシマブ(IFX)が25例、エタネルセプト(ETN)が13例であった。評価関節数は、股関節49、膝関節40、足関節55、距骨下関節44の計188関節で、(1)生物学的製剤使用前、(2)治療1年前後、(3)治療2年以降の3ポイントにおけるX線所見の比較を行った。

 その結果、股関節と膝関節では、5つの股関節と10の膝関節で破壊が進行しており、破壊の修復がみられた関節はなかった。特に、Larsen grade III以上の関節では、治療後1年の時点ですべての関節の破壊が進行していたが、Larsen grade II以下の関節は9割以上が2年以降も関節破壊が進行していなかった。

 一方、足関節と距骨下関節では、それぞれ8関節で破壊が進行していたが、破壊の修復も6つの足関節と2つの距骨下関節で認められた。また、この傾向は、治療1年後も2年後もほとんど同様であり、1年後に不変であった関節は2年後にもほとんどが不変、1年後に破壊が進行していた関節は2年後にもほとんどが破壊の進行した状態だが、1年後に修復がなされていた関節は2年後にもその状態が保たれていた。

 ATTRACT試験(2004)では、小関節においてはIFXの関節破壊抑制効果は2年以上にわたって維持されることが報告されている。今回の松下氏らの検討では、股関節と膝関節では、Larsen grade II以下の場合は関節破壊の阻止が可能だが、破壊が進んだ関節での抑制は期待できないこと、荷重関節であっても足関節と距骨下関節の場合は、少なくとも2年以上の関節破壊の抑制・修復効果が得られるケースが少なくないこと、が示された。

 また、股関節と膝関節、足関節と距骨下関節の別を問わず、IFXへの応答性が不良であった症例には、関節破壊の進行が圧倒的に多く認められた。したがって、「荷重関節の骨破壊抑制のためには、やはり早期からの疾患活動性のコントロールが重要だろう」と松下氏は述べた。


【訂正】
本文の最終段落1行目に、「IFXへの応答性が不良であった症例は、に関節破壊の進行が」とありましたが、正しくは「IFXへの応答性が不良であった症例には、関節破壊の進行が」でした。訂正します。