九州大学眼科の肱岡邦明氏

 インフリキシマブ(IFX)の有効性は、関節リウマチ(RA)以外の多くの炎症性疾患で報告されている。昨年1月には、ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎が新たなIFXの適応疾患に加わった。九州大学眼科の肱岡邦明氏らは、第52回日本リウマチ学会で、既存治療に抵抗性の眼病変を呈するベーチェット病患者9例に対するIFX治療成績について報告。IFXは同疾患の眼症状を著明に改善したのみならず、眼外症状の改善にも一定の効果が認められたことを明らかにした。

 ベーチェット病は、増悪(眼発作)と寛解を繰り返す慢性再発性の全身性炎症性疾患であり、反復する眼発作によって網脈絡膜視神経の不可逆的な変性が進行し、最終的には失明にも至る。これを阻止するためには発作の予防が不可欠だが、コルヒチンシクロスポリンなどの既存治療では病勢をコントロールできない患者が少なくなく、新たな治療法の確立が急務とされていた。

 こうした中で、新たに承認されたIFXへの期待は大きい。肱岡氏らは、既存治療に抵抗性で眼発作を繰り返す重症患者9例(年齢平均38.8歳、すべて男性)に対し、IFXを所定の用法用量※にて投与し、最低3カ月間の追跡を行った。

 その結果、眼発作は9例中7例で完全に消失した。残る2例もごく軽度な発作を数回起こしたに留まり、全9例の平均眼発作頻度は、投与前の1.20±0.49回/月から0.08±0.07回/月へと有意に減少した(p<0.01)。また、眼外症状についても、医師が評価する臨床スコア、本人による自覚評価ともに有意な改善を認めた(いずれもp<0.05)。

 安全性については、投与時反応が1例にみられたが、点滴速度を落とすことにより対応可能であった。また、感染性腸炎を発症した症例が1例みられたが、IFXとの因果関係は不明であったという。

 以上より、IFXはベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎に対して有効であることが、実臨床においても確認されたと同時に、眼外症状の改善にも有効であることが示唆された。今回の学術集会では、横浜市立大学の岳野氏らと愛知医科大学の向井氏らも、IFXによる眼外症状改善の可能性について報告している。さらなる検討が待たれるところである。


※ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎に対するIFXの投与スケジュールはRAと同様(0、2、6週、以後8週間隔で点滴静注投与)だが、1回当たりの投与量は5mg/kgである。