産業医科大学医学部第一内科の田中良哉氏

 わが国では今、インフリキシマブ(IFX)に関する「日本人のエビデンス」構築が活発になっている。産業医科大学医学部第一内科の田中良哉氏は第52回日本リウマチ学会のシンポジウム「抗TNF療法の展望」で、現在進行中の試験も含めたわが国発のデータを紹介し、広がりつつあるIFXの可能性と、日本におけるこれからの関節リウマチ(RA)治療のありかたについて語った。

 わが国のRA患者におけるIFXの有効性は、市販後全例調査PMS)の結果からも明らかである。しかし、より客観的なエビデンスを求める田中氏らは、産業医科大学と埼玉医科大学、東京女子医科大学の3施設協同によるRECONFIRM試験(2007年)を実施。この試験において、治療前には99%が中等度〜高活動性であった患者が、IFX治療開始から22週後で4割が低活動性となったことが明らかにされ、文字通りIFXの有効性が再確認(reconfirm)された。

 さらに、評価期間を54週に延長したRECONFIRM-2の結果もこのほどまとめられ、22週時に認められた効果は1年後も維持されることが確認された。全410例中、効果不十分を理由とする脱落は10%未満であり、治療の長期化に際して懸念された効果減弱も実際はわずかであった。

 また、関節破壊の進行抑制効果を検討するサブ試験・RECONFIRM-2Jでは、IFX導入前に、総Sharpスコアが1年当たり平均21.33ポイント増加していたのが、導入後には平均で-0.03ポイントとわずかだが減少に転じていたことが報告された。すなわち、IFXは関節破壊の進行をほぼ完全に抑制するだけでなく、改善すらもたらすことが明らかになったわけである。

 もし、発症から関節破壊へと向かう途上で、IFXを使うことによって関節破壊の進行を阻止できるのであれば、より早期からIFXを用いれば関節破壊を未然に防ぐことも可能ではなかろうか。関節破壊の「進行抑制」から「予防」へ−−「一連のRECONFIRM試験の結果は、RA治療の意識革新をもたらしたといっても過言ではない」と田中氏は述べた。

 続いて同氏は、寛解に伴うIFX中止の可能性に話題を移した。オランダのBeSt試験では、当初からIFXを積極的に用いた早期RA患者の約半数が4年後にはIFXからの離脱を得ただけでなく、その1/3はDMARDsからも離脱して「ドラッグフリー」となったことが報告されている。しかも、この試験対象群では、病初期から高価な薬剤を用いたにもかかわらず、薬剤費からの解放と症状軽減に伴う労働損失の回復により、総コストは通常療法群より安くなったという。

 そこで田中氏らは、わが国でもドラッグフリーを目指すべく、疾患活動性のコントロール状況に応じて併用薬を徐々に減量・中止していく戦略をとった。まずはステロイドNSAIDs、次にMTX以外のDMARDsを休薬してもDAS28<2.6を24週以上継続できればIFXの中止も検討するという方針で臨んだ結果、産業医科大学では、罹病期間の長い患者を含めて、これまでに10例の患者がIFXを中止し得たという。

 同氏らはこの結果を受け、IFXは寛解中止が可能であるとのエビデンスを構築すべく、多施設共同臨床試験の「RRR試験」を現在遂行中である。その結果が明らかになる日が待たれるところである。


【訂正】
本文の末尾から2段落目に、「次にMTX以外のDMARDs、さらにMTXを休薬してもDAS28<2.6を24週以上継続できれば」とありましたが誤りで、正しくは、「次にMTX以外のDMARDsを休薬してもDAS28<2.6を24週以上継続できれば」でした。お詫びして訂正します。