東京医科歯科大学大学院薬害監視学の駒野有希子氏

 日本の関節リウマチ(RA)患者における生物学的製剤長期安全性を、抗リウマチ薬(DMARDs)使用者を対照として検討するREAL研究が進行中である。その追跡半年時点での中間解析を終えた東京医科歯科大学大学院薬害監視学の駒野有希子氏らは、生物学的製剤使用者では重篤有害事象重篤感染症の発現頻度が高く、特に高齢者慢性肺疾患有病者では、そうした傾向が強いことを認め、第52回日本リウマチ学会のワークショップで報告した。

 REAL研究は、日本人RA患者における生物学的製剤の長期安全性の検討を目的として、2005年7月に開始された登録研究であり、参加施設は23施設を数える。今回駒野氏らは、同研究登録患者のうち、6カ月以上の追跡が可能だった生物学的製剤使用患者498例(インフリキシマブ使用患者220例、エタネルセプト使用患者278例)と、DMARDs使用患者369例における2008年2月末日時点での有害事象発現状況を比較した。

 ベースライン時の両群の背景因子を比較すると、生物学的製剤群ではDMARDs群に比して年齢が有意に若く、疾患活動性、メトトレキサートMTX)用量、ステロイド併用率、ステロイド用量、プレドニゾロン(PSL)換算で10mg/日以上の高用量ステロイド併用率、糖尿病有病率が有意に高いという違いが認められた。

 重篤な有害事象と重篤な感染症の発現率は、生物学的製剤群が13.4件/100人・年と6.0件/100人・年、DMARDs群が8.9件/100人・年と2.6件/100人・年であり、いずれも生物学的製剤群で高率であった。背景因子補正後の生物学的製剤群における重篤な感染症発現のハザード比(HR)は2.31(95%CI:1.03-5.17)であり、有意なリスクの増加が認められた。

 次に、生物学的製剤群の中で、重篤な感染症を起こした患者(n=35)と起こさなかった患者(n=463)を比較すると、前者では有意に年齢が高く(65.5歳 vs 56.8歳、p<0.001)、慢性肺疾患の有病率が高い(45.7% vs 15.3%、p<0.001)という違いが認められた。高齢(≧65歳)あるいは慢性肺疾患を持つ生物学的製剤群患者における重篤な感染症発現のHRは、それぞれ3.16(95%CI:1.52-6.57)、2.90(95%CI:1.43-5.87)であった。

 以上より、長期的な生物学的製剤の使用は、日本のRA患者における重篤な有害事象、重篤な感染症のリスクを高めることが明らかとなった。ことに、高齢の患者や慢性肺疾患を持つ患者では重篤感染症のリスクが高く、これらの患者への生物学的製剤の使用に際しては、よりきめ細やかな経過観察があることが示唆された。

 しかしながら、高い有効性を持つ生物学的製剤を活用するためには、逆に「どのような患者では安全に使えるのか」という情報が不可欠である。座長からも、今後の課題として、この点の検討を求めるコメントが寄せられた。