抗リウマチ薬DMARDs)のひとつであるタクロリムス(TCR)の成人投与量は1日1回3mgだが、半量以下の低用量投与でも高い有効性が得られることが確かめられた。時計台記念病院(札幌市)リウマチ膠原病センター長の谷村一秀氏らが、第52回日本リウマチ学会のポスターセッションで4月22日に報告した。

 TCRは、関節リウマチ(RA)の治療薬として2005年4月に保険適用となり、非ステロイド性抗炎症薬NSAIDs)や他の抗リウマチ薬などによる治療を行っても症状が残存する場合に使用されている。最近、副作用医療費を減らすメリットがある低用量投与の有効性検討が進められている。

TCRは、T細胞内結合たんぱく質であるタクロリムス結合たんぱく質と結合して複合体を形成、さらにT細胞のシグナル伝達にかかわるカルシニューリンと結合して、その活性を抑制することにより、免疫抑制作用を示す。メトトレキサートMTX)などとは異なり、T細胞活性化を介した炎症性サイトカインの産生を選択的に抑制し、関節炎症状を改善すると考えられている。その効果は比較的即効性が高いといわれる。また、骨、軟骨の修復を促進する可能性も示唆されている。

 RAに優れた効果を発揮し、安全性も比較的高いとされているが、副作用として消化器障害腎障害耐糖能障害感染症間質性肺炎増悪などが指摘されている。このため、特に副作用発現リスクの高い高齢者などに対しては、低用量(1日1回1.5mg)から開始し、血中濃度のモニタリングを行いながら増量していくことが求められている。低用量投与は副作用リスクを低下させるだけでなく、薬剤コストも減らすことができる。TCRはDMARDsのなかでは薬価が高いため、その意義は大きい。

 谷村氏らは、同センターで1日1回1.5mg以下(0.5〜1.5mg)のTCR投与を行った154例(男性27例、女性127例)について、有効性と安全性を検討した。増量した症例については、1.5mg以下の投与期間について検討対象とし、おおむね1年以上、追跡した。65歳以上の高齢者が半数以上を占めたが、50〜64歳が30%含まれるなど、非高齢者も少なくなく、平均年齢は63.4歳であった。

 疾患活動性の指標であるDAS28EULAR(European League Against Rheumatism)改善基準により、有効性を判定したところ、Good response 28%、Moderate response 47%で、Moderate response以上75%という成績が得られた。この成績は、使用成績調査中間解析における常用量投与群と有意差がなく、低用量投与でも高い有効性が得られることが分かった。有効性と血中濃度との間に相関関係は認められなかったという。

 一方、副作用についても、常用量投与群に対する有意な差は認められなかった。154例中112例(73%)は投与を継続できたが、42例(27%)は中止された。中止の理由は副作用が20例、無効が11例、患者の都合(転院、拒否など)が11例。中止理由となった副作用は、胃腸障害5例、腎機能障害4例、感染症3例、肝機能障害2例、糖尿病2例、間質性肺炎増悪1例などで、低用量投与を行っても副作用で中止となる症例が一部に存在することが示された。なお、血中濃度(投与量比)は年齢が高くなるほど上昇した。

有効性、副作用とも、常用量に対して有意な差が認められなかったことは、薬剤量をさらに減らせる可能性を示唆するものと言える。谷村氏は、「今後、症例を増やし、年齢とRAの進行度別に、薬剤量と有効性、副作用の関連性を確かめたい」としていた。