井上病院リウマチセンターの桜井武男氏

 インフリキシマブ(IFX)の承認から5年、その優れた効果は多くの人の知るところとなったが、使用成績の蓄積が進むにつれ一部の使用患者における効果減弱という問題が浮上してきている。井上病院リウマチセンター(群馬県高崎市)の桜井武男氏らは、効果減弱例へのレスキュー策として近年注目されているステロイド静注療法を33例の効果減弱例に試行。これにより、約半数の症例で効果の回復がみられたことを、第52回日本リウマチ学会で報告した。

 同氏らは、前回のIFX投与時に比べ、DAS28の悪化が3回継続している症例を「効果減弱例」と定義。これに該当する関節リウマチ(RA)患者33例に対し、次回のIFX投与時からプレドニゾロン(PSL)20mgの前投与を併用し、DAS28(4CRP)の各項目とMMP-3値の推移を24週間にわたって追跡した。なお、各患者の効果減弱までのIFX投与回数は4〜13回(平均7.3回)であり、2〜10mg/週(平均6.5mg)のメトトレキサート(MTX)を併用していた。

 追跡の結果、PSL導入8週後には、IFX投与前に対するEULAR改善基準が33例中2例(6.1%)でgood response、15例(45.4%)でmoderate responseを達成した。さらに、16週目にはmoderate responseのうち3例がgood responseに移行し、24週時点では51.5%がmoderate response以上を達成した。

 IFXの効果減弱をもたらす最大の原因は、ヒト抗キメラ抗体HACA)の産生だと考えられており、IFX 3mg/kgをMTX併用下で用いた場合はその陽性率は11.1%と報告されている。一方、クローン病患者での検討ではあるが、ヒドロコルチゾンの前投与によってHACA陽性率は30〜50%低下することが明らかにされている。

 また、ステロイド併用以外の対処法としては、(1)IFXの増量、(2)IFX投与間隔の短縮、(3)MTXの増量、(4)他の生物学的製剤への変更などの選択肢がある。しかし、わが国の保険適応下では、(1)〜(3)を選択することはできない。また(4)は、できれば最後の手段として温存したい。よって、PSL前投与は、現段階において最も現実的な手法といえる。これにより、半数強の効果減弱例で効果の回復が認められたことは、実地医家にとって心強い結果といえよう。