産業医科大学医学部第一内科の福與俊介氏

 「関節リウマチ(RA)に対するTNF阻害療法施行ガイドライン」では、投与時反応への懸念から、「インフリキシマブ(IFX)は緩徐に(2時間以上かけて)点滴静注する」ことを推奨している。しかし、2時間にわたってベッドを占拠されることは、医療現場にとって頭の痛い問題である。産業医科大学医学部第一内科の福與俊介氏らは、同科で導入を進めるIFXの1時間投与の試みについて報告。2時間投与で投与時反応を認めなかった患者であれば、安全かつ効果を減じることなく投与時間の短縮が可能との見解を示した。研究成果は第52回日本リウマチ学会で報告された。

 福與氏らは、IFXを導入した272例のRA患者のうち、(1)2時間投与で投与時反応を認めない、(2)2時間投与を6回以上施行している、の2つの条件を満たし、本人の同意を得た症例に対し、昨年8月から1時間投与を行っている(1時間投与群:n=119)。一方、2時間投与で投与時反応を認めた患者(11例)や投与回数が6回未満の患者(37例)、他施設で2時間投与を継続している患者(14例)については、従来通りの2時間投与が続けられた(2時間投与群:n=62)。

 1時間投与群へのこれまでの総投与回数は354回を数える。しかし、投与時反応の発現は皮疹2例、皮疹・発熱1例の計3例(2.5%)のみであり、重篤な投与時反応は皆無であった。これは、同科のIFX導入患者全272例における発現率(全体5.4%、重篤0.7%)や、市販後全例調査における報告(全体9.7%、重篤0.5%)と比べても低率であった。

 3例のうち1例は、初めての1時間投与で投与時反応を発現、もう1例は2度目、残る1例は3度目の1時間投与での発現であった。いずれの症例も、投与時間を2時間に戻すことにより、投与の継続が可能であった。

 また、1時間投与群と、2時間投与群の投与7回目以降のDAS28(ESR)の推移を比べても、両群の間に有意な差は認められなかった。すなわち、1時間投与は効果の面においても2時間投与と同等であると考えられた。

 以上より、福與氏らは、IFXの2時間投与で投与時反応を起こさなかった症例であれば、投与時間を1時間に短縮しても有効性・安全性に問題はないものと結論。実地医家を悩ませる点滴スペース確保の問題を解決する有用な方策として、1時間投与の導入を提言した。

 なお、今回の学術集会では、神戸大学の三浦氏らも同様の報告をしている。