埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科の長澤逸人氏

 インフリキシマブ(IFX)治療を受けた関節リウマチ(RA)患者の関節破壊進行と身体機能(HAQスコア)の変化を2年間にわたって追跡した研究により、IFXは関節破壊をほぼ完全に阻止し、HAQの有意な改善をもたらすこと、しかし、より高いHAQの改善を得るためには、より早期からのIFXなどの薬物治療が求められることが示された。第52回日本リウマチ学会で埼玉医科大学総合医療センター リウマチ・膠原病内科の長澤逸人氏らが発表した。

 本検討の対象は、通常の投与方法で102週まで継続してIFXを投与されたRA患者67例(うち男性6例)である。平均年齢は53.5±11.7歳、罹病期間は8〜370カ月(平均104.5±86.8カ月)であった。長澤氏らは、これらの患者に対し、IFXの投与のたびに、疾患活動性の各指標(血清MMP-3CRPDAS)およびHAQを測定した。また、0週、54週、102週には手足のX線像を撮影し、関節破壊の進行を評価した。

 その結果、関節破壊の指標であるvan der Heijde変法Sharpスコアは、ベースライン時に比して1年時には平均4.4±5.8ポイント増加していたが、2年時にはそれ以上の進行は認められなかった。

 2年間の身体機能の変化については、全67例中42例においてHAQの有意な改善が認められた。改善を示した患者では、改善の認められなかった患者(n=25)に比べて罹病期間が有意に短く(87.0±77.0日 vs 133.8±95.7日、p<0.05)、治療後の疾患活動性が有意に低値であった(DAS28(CRP)3.2±0.8 vs 3.7±0.7、p<0.05)。

 また、長澤氏らは、患者を治療後の疾患活動性によって寛解群(n=25)と非寛解群(n=41)に分けた。さらにこれらの患者を、(1)罹病期間2年未満、(2)2〜5年、(3)5〜10年、(4)10年以上に4分し、治療によって得られたHAQの改善値(HAQ %reversibility)をプロットした。

 その結果、寛解群では非寛解群に比して明らかに良好なHAQ改善度を呈したが、両群とも罹病期間が長くなるほどHAQ改善値は低下した。すなわち、罹病期間が長くなれば、たとえ疾患活動性がコントロールされても、罹病期間の短い患者ほどのHAQ改善を得ることは難しいことが示された。

 以上より、病変の進行を阻止し、HAQの改善を得るためには、罹病期間が長期に及ばないうちに疾患活動性のコントロールと関節破壊の阻止を図ることが重要と考えられた。そのためには、「IFXのような薬剤を早期から積極的に用いることが支持される」と長澤氏は結論した。


【訂正】
本文第3段落1行目にスペルミスがありました。正しくは「van der Heijde変法Sharpスコア」でした。訂正します。