九州大学病院免疫・膠原病・感染症内科の三苫弘喜氏

 抗体製剤であるインフリキシマブアダリムマブは、可溶性TNF受容体であるエタネルセプトとは異なり、TNF産生細胞補体依存性細胞障害活性CDC)を示すこと、内向きシグナルリガンドを発現した細胞自身の通常とは逆向きのシグナル)によりアポトーシス細胞周期停止を誘導すること、こうしたメカニズムの違いが臨床効果に差をもたらす要因の一つになっている可能性が示唆された。九州大学病院免疫・膠原病・感染症内科の三苫弘喜氏らが、第52回日本リウマチ学会のワークショップ「サイトカイン・ケモカイン」で発表した。

 インフリキシマブ、アダリムマブ、エタネルセプトの3剤はいずれも、可溶型TNFαに対してほぼ同等の作用を示し、3剤ともRAには高い臨床効果を示すことが分かっている。しかし、インフリキシマブやアダリムマブが有効であるクローン病Wegener肉芽腫症に対して、エタネルセプトは効果がないとされる。このことから、3剤の作用機序はTNF中和以外の作用で何らかの相違がある可能性が考えられている。

 三苫氏らはこれまで、TNF阻害薬の新しい作用として、膜型TNFを介したTNF産生細胞への効果について報告してきた。今回は、上記3剤の作用について、TNF産生細胞(膜型TNF発現細胞)に対する作用として、抗体依存性細胞障害活性ADCC)、CDC、内向きシグナルについて検討を行った。

 その結果、まずADCCは3剤とも認められ、いずれもNK細胞によって誘導されることが分かった。CDCはインフリキシマブ、アダリムマブでは明らかに認められたが、エタネルセプトでは弱かった。内向きシグナルに関しては、インフリキシマブ、アダリムマブでは、内向きシグナルによってTNF産生細胞のアポトーシスと細胞周期の停止が誘導されたが、エタネルセプトではこうした作用は認められなかった。

 以上の成績から、三苫氏は、「3剤はいずれも膜型TNFに対する結合能を有しているが、CDCまたは内向きシグナルによるアポトーシスと細胞周期の停止は抗体製剤でのみ認められ、より強い抗炎症効果を示すことが考えられた。これらのシグナルの差がクローン病やWegener肉芽腫症における臨床効果の差の要因の一つになっているのではないか」と結論付けた。


【訂正】
 本文中に「アダリブマブ」とありましたが正しくは「アダリムマブ」でした。訂正します。