名古屋大学医学部整形外科の金山康秀氏

 関節リウマチ(RA)の頸椎病変は、種々の神経症状の原因となる憂慮すべき病態である。名古屋大学医学部整形外科の金山康秀氏らは、インフリキシマブ(IFX)を投与したRA患者の頸椎病変と手X線変化について検討した結果、IFXの応答が良好な患者では、関節破壊のみならず頸椎病変の進行抑制も良好であることを確かめ、第52回日本リウマチ学会で報告した。

 対象は、1年以上のIFX継続投与を受けたRA患者33例(男性7例、女性26例)である。投与開始時の平均年齢は51.6±13.7歳、罹病期間11.3±9.6年、圧痛関節数8.9±6.1、腫脹関節数9.0±4.9、CRP 3.8±2.8mg/dL、ESR 52.6±31.5mm/h、DAS28(ESR)5.86±1.21であった。

 金山氏らは、これらの患者に対し、ベースライン時および1年後に頸椎X線撮影を行い、環椎歯突起間距離(ADI:環軸椎亜脱臼の指標)と脊髄余裕空間(SAC:同)、Ranawat値(環軸椎垂直亜脱臼の指標)を指標として、頸椎病変の進行程度を評価した。また、Sharpスコア(van der Heijde変法)による手関節破壊の評価も併せて行った。

 ベースライン時のADI、SAC、Ranawat値とSharpスコアとの間には、いずれも有意な相関が認められた(ADI:r=0.380、p=0.029、SAC:r=0.494、p=0.004、Ranawat値:r=0.536、p=0.001)。すなわち、手関節破壊の進行した患者では頸椎病変の程度も大きいことが示唆された。

 治療1年後のADIは4.1mmから4.5mmへ、SACは16.9mmから16.5mmへとわずかに進行した(ともにp<0.001)が、Ranawat値は13.3から13.0へとわずかに改善された(p<0.05)。一方、総Sharpスコア骨びらんスコア関節裂隙狭小化スコアのいずれも有意な進行は認められなかった。

 また、金山氏らは、患者をADI、SAC、Ranawat値のうちひとつでも進行が認められた群(頸椎病変進行群:n=14)と、いずれの指標にも進行が認められなかった群(非進行群:n=19)とに分け、頸椎病変の進行に影響を及ぼす因子の検索を行った。

 その結果、非進行群では1年後のMMP3値が有意に低下していた(462.2→181.4ng/mL、p=0.004)。一方、進行群のMMP3値には有意な変化は認められなかった(334.3→212.3ng/mL、p=0.101)。また、EULARの改善基準でgood responseの患者では15例中12例で頸椎病変の進行が抑制されていたのに対し、moderate responseの患者は18例中11例が病変の進行を呈した(p=0.003 vs good responseの患者)。

 IFXは小関節のみならず、頚椎病変の進行を抑制できる可能性がある。悪化すれば生命を脅かす危険のある頸椎病変の進行は、小関節破壊の指標であるSharpスコアと相関し、IFXの応答性により予測できることが示された。