国立病院機構名古屋医療センター整形外科リウマチ科の来田大平氏

 関節リウマチ患者に対し、地域の一般病院や診療所と基幹医療機関の間で診療連携パスを構築することで、生物学的製剤導入を促す試みが第52回日本リウマチ学会のポスターセッションで4月21日に報告され、会場の高い関心を集めた。国立病院機構名古屋医療センター整形外科リウマチ科の来田大平氏らが発表したもの。

 同院リウマチ科には約980人が通院中。そのうち約250人に生物学的製剤を投与し、良好な成果を挙げているという。研究グループはこうした成果を地域に普及させたいと考えた。

 そこで来田氏らが考案したのが「循環型地域連携パス」と呼ぶ仕組み。患者が基幹病院と地域の病院・診療所を行き来してパスを受け渡し、情報を共有するイメージで、「らくらくパス」(RACRC-Path:Rheumatoid Arthritis Circulatory Regional Collaboration Pathway)と名付けている。

 このシステムでは、地域の医療機関がかかりつけドクター用パスを持ち、生物学的製剤の投与(注射)、検査から投薬、リハビリ、訪問看護までを分担する。一方、基幹病院の名古屋医療センターは、緊急時の対応のほか、長期的効果判定、入院手術、四肢レントゲン、胸部CTなどを受け持つ。患者は2〜4週間ごと(エタネルセプト)、または8週間ごと(インフリキシマブ)に地域の医療機関を、6カ月ごとに基幹病院を受診する。

 パスは2007年9月から稼働を開始、同時に近隣の医療機関に呼びかけを始めた。生物学的製剤と関連するガイドライン、らくらくパスについての勉強会を毎月開催し、賛同を得た13施設を連携かかりつけ医とした。

 開業医師からは、高価な生物学的製剤の在庫リスクに不安との声も上がった。来田氏はこれに応え、新たなパスを利用する患者が院外処方を希望する薬局に対し、院外処方せんの応需を直接働きかけた。医療機関の在庫リスクを減らすことで、患者受け入れを促すのが狙いだ。

 現在までのところ、本方式を利用している患者は13人と少ないが、来田氏は、「まだ呼びかけから半年に過ぎず、今後の普及は期待したい」としていた。