インフリキシマブIFX)とエタネルセプトETN)は、ともにTNFαの阻害という全く新しい機序をもつ関節リウマチRA)治療薬である。その承認に当たり、厚生労働省は、予期せぬ副作用に備えて十分な監視態勢を取るとともに、有効性・安全性データの蓄積を図るという2つの意味合いから、全使用者を対象とした市販後調査PMS)を行うことを条件とした。4月27日に開催された国際シンポジウムでは、PMS推進の中心的人物の一人である産業医科大学第一内科の田中良哉氏が登壇、両剤の効果と安全性、使用者の背景因子をまとめた最新の集計結果を報告した。

 PMSの登録患者は、IFXが5000例、ETNが7091例である。PMS実施時における両薬剤の投与対象基準は、既存の標準治療にもかかわらず、1.圧痛関節数≧6、2.腫脹関節数≧6、3.赤沈≧28mm/hrまたはCRP≧2.0mg/dLの状態が3カ月以上持続しており、なおかつ白血球数、末梢リンパ球数、β-D-グルカンの測定により日和見感染の危険性が低いとみられる活動性RA患者とされた。

 IFX使用者とETN使用者の背景因子を比較すると、前者では結核既往者の頻度(5.2% vs 6.5%)と合併症の併存率(38% vs 58%)が低率であった。一方、RA治療で中心的な役割を果たし、生物学的製剤の使用時には併用が強く推奨されているメトトレキサート(MTX)の併用率は、IFX使用者の100%に対してETN使用者では53%であった。さらに、ステロイドの併用率は、IFX使用者の88%に対してETN使用者では75%という違いがみられ、先のMTXと同様、IFX使用者ではこれらの薬剤の併用は副作用を含め調査対象患者のリスクの高さ、疾患コントロールの難しさを示唆するものと考えられた。

 副作用の発現率は、IFXが28.0%、ETNが30.6%であり、重篤な副作用の発現率はそれぞれ6.2%、5.7%であった。最も高率にみられた副作用は、両剤とも呼吸器感染症であった(それぞれ2.2%、1.4%)。なお、わが国は先進諸国中、飛び抜けて結核感染率が高いことが知られるが、PMSで認められた結核の発生例数は、先に実施されたIFXのPMSで14例、後から実施されたETNのPMSでも10例にとどまった。わが国では、先に実施されたIFXのPMSで得た情報なども踏まえ、事前に結核リスクを評価するとともに、高リスクと判定された患者には入念な予防策を講じるようガイドラインが設けられている。田中氏は、この方策が良好な結核コントロールにつながったとの見方を示した。

 一方、有効性については、先に実施されたIFXのPMSが全般改善度で評価していたのに対し、ETNはその後の評価基準の主流となったEULAR基準で評価している。したがって、両剤の有効性を同一の尺度で論じることはできないが、IFXは6週目、22週目ともに全般改善度での改善率は9割を超え、ETNも4週目で76%、24週目で84%という優れた改善達成率を示した。田中氏は、「今回のPMSは、わが国における抗TNFα薬の有効性と安全性を明確に示すエビデンスだ」とその意義を高く評価した。