写真1 筑波大膠原病リウマチアレルギー内科教授の住田孝之氏

 低価格・小型で、一般的な外来診察室に設置でき、早期関節リウマチ(RA)診断に必要な手の関節炎像を10分間程度で検査できるという、手専用「コンパクトMRI」国産機の開発が進んでいる。第51回日本リウマチ学会の一般口演で、筑波大学大学院人間総合科学研究科先端応用医学専攻臨床免疫学(膠原病リウマチアレルギー内科)教授の住田孝之氏(写真1)らが報告し、会場の注目を集めた。

 現在、MRIの標準機となっているのは1.5T(テスラ)タイプだが、大型で専用のシールドルームが必要。価格も数億円と高く、開業医の診療所などに設置するのは現実的ではない。

 開発中のコンパクトMRIは、0.2〜0.3Tと弱磁場で手専用という制約はあるものの、製品価格は3000万円程度と、産婦人科クリニックなどで用いられる超音波診断装置並みになる見通しだ。2008年春の製品化を目指している。

写真2 開発中のコンパクトMRI、写真は0.2T実験機

 住田氏らは約2年前から、筑波大学数理物質科学研究科教授の巨瀬勝美氏らと共同でコンパクトMRIの開発を進めてきた。1年前からは筑波大病院の外来診療室に0.2T実験機(写真2)を設置し、健常人とRA患者を対象に症例を蓄積してきた。設置面積は4m弱。2×3mほどの外来ブースに設置し、周囲に磁気シールドを置いてある。片手全体を一度で検査可能だという。

 研究グループはこのほど、新たに0.3Tの実証機を開発、近く現在試験中の0.2Tと入れ替えで病院に設置するという。磁場強度を約1.5倍に上げていながら、シールドルームが不要な設計で、より小規模な診察スペースにも容易に設置できるようになる。

写真3 実験機で撮影した画像。生物学的製剤投与の結果、骨びらんが改善していることが明瞭に分かる(画像提供:住田孝之氏)

 磁場強度を上げたことで、必要な解像度を得るための撮像時間は、片手全体で7分前後(0.2T機では17分)になった。同じ信号雑音比の画像を得る場合、2.6倍の高速化が実現したという。

 住田氏は、「開発機は非常に高感度で解像度が良く、造影剤を使わなくても滑膜炎や骨髄浮腫がきれいに描出できる。MRI検査を実施している医師でも、黙っていれば造影剤を使っていない画像だとは分からない」という(写真3)。 ただし、試験機はまだ症例研究の段階。1.5T標準機との比較や造影剤を使った場合と使わない場合の比較については、3カ月以内をめどに実施する予定だ。なお、手以外の部位の撮影について住田氏は、「足の撮影は可能になる見通し。肘、膝、肩など、その他の部位は当面難しい」としていた。