井上病院リウマチ・整形外科の櫻井武男氏

 インフリキシマブIFX)に続く第2の抗TNF薬としてエタネルセプトETN)が登場したことにより、IFXで効果持続が保たれない症例、あるいは使用不能な関節リウマチRA)患者においても「抗TNF薬の切り替え」という活路が開けた。本学会でも、切り替えにより、再度コントロールが得られるとの報告が散見された。しかしながら、切り替え後1年以上が経過した17症例の追跡を行った井上病院リウマチ・整形外科の櫻井武男氏らは、第51回日本リウマチ学会のポスターセッションで、ETNに切り替えても効果が現れない患者も存在し、切り替え例の長期経過は必ずしも良好とは限らないことを報告した。

 検討対象は、18〜77歳(平均57.6歳)のRA患者17例である。RA罹病期間は平均9年4カ月、病期分類はStage IIが1例、IIIが5例、IVが11例であり、長期・進行RA症例が多くなっていた。また、IFXからの切り替えの理由は、無効が3例、効果減弱および有害事象による切り替えが各7例であった。

 ETNへの切り替え後、1例が帯状疱疹のために投与中止となった。その他の有害事象としては、注射部位の腫脹・発赤が3例、注射部位以外の皮疹が7例にみられたが、いずれも軽微であった。

 12カ月後のCRP値は、切り替え前の平均5.9mg/dLから1.9mg/dLへと大きく低下した。同様に、患者による全般改善度評価(VAS)は67.1ポイントから48.9ポイントへ、圧痛関節数は11.9から4.9へ、腫脹関節数は12.5から5.2へ、疾患活動性DAS28)は5.97から4.28へと改善した。しかし、EULAR改善基準に基づく判定では、Good responseが0例、Moderate responseが7例(44%)にとどまり、No responseが9例(56%)であった。さらに、9例についてはマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)-3値の測定も行ったが、切り替え後にMMP-3値の低下をみた症例は1例のみであった。

 以上のように、ETN切り換えてもnon-responderは半分以上存在し、IFXからETNへの切り替え例の改善率は44%にとどまることが示された。櫻井氏らは、「抗TNFα療法にも限界はある」と指摘し、これを打開する方策が必要だとした。