産業医科大学第一内科学の名和田雅夫氏

 インフリキシマブIFX)は、疾患活動性の制御に加え、骨・関節破壊の進行を抑制することが知られているが、その機序の詳細は不明である。産業医科大学第一内科学の名和田雅夫氏らは、IFX+メトトレキサートMTX)にて治療した関節リウマチRA)患者の2年間の骨代謝病態の推移を、MTX単剤で治療した患者と比較した結果、前者では破骨細胞の異常な活性亢進が抑制されていることを見出し、このことがIFXによる骨障害抑制の機序の一端を担っているものと考察した。研究成果は第51回日本リウマチ学会のポスターセッションで報告された。

 本検討の対象は、MTX抵抗性のRA症例100例である。このうちIFX+MTXによる治療を受けた患者は85例であり、残る15例はMTX単剤による治療を受けた。前者85例の平均年齢は53.6±12.1歳、平均罹病期間は113.4±105.7カ月、平均ステロイド投与量はプレドニゾロン換算で3.30±3.30mg/日であり、ベースライン時の骨密度BMD)は腰椎(L2-4)が0.89±0.18g/cm2、大腿骨頸部が0.67±0.14g/cm2と年齢相応であった。また、骨型ALP骨形成マーカー)値も26.9±10.5U/Lと標準的であったが、尿中NTx骨吸収マーカー)値は76.4±37.7nmol/mmol Crと著明に亢進していた。

 2年間のIFX+MTX治療後は、腰椎BMDが0.92±0.22g/cm2、大腿骨頸部BMDが0.68±0.11g/cm2と不変であったが、骨型ALP値は29.2±11.2U/Lへと微増(24カ月時点では有意差なしだが、6および12カ月時点では有意差あり)、尿中NTx値は42.3±18.3nmol/mmol Crへと大きく低下した(p<0.01)。これに対し、MTX単剤で治療された15例では、BMDおよび骨代謝マーカーに有意な変化は認められなかった。なお、IFX+MTX治療患者における尿中NTx値の低下傾向は、寛解達成(DAS28≧2.6)の有無やステロイド投与量の多寡にかかわらず一貫していた。

 以上より、RAに伴う骨破壊では、骨密度は年齢相応ながら骨吸収が著明に亢進した状態にあり、IFXはその是正をもたらすことが示された。名和田氏らは、RAの骨障害には正常の骨リモデリングサイクルから逸脱した骨芽細胞非依存性の破骨細胞活性化が関与しており、IFXによるTNFα阻害は、骨吸収の異常な亢進を是正するとともに骨形成を促進することによって骨障害の改善に働くものと推測している。