産業医科大学第一内科の名和田雅夫氏

 関節リウマチRA)に対し、インフリキシマブIFX)が高い疾患活動性の抑制効果と関節破壊抑制効果を有することは揺るぎのない事実として認知されている。そして最近では、寛解導入された症例において同剤の治療を離脱しても、寛解状態が維持される症例があることも報告されている。数多くの寛解導入・IFX離脱成功経験を持つ産業医科大学第一内科の名和田雅夫氏らは、成功例の特徴を検討した結果、IFX導入時の病期とマトリックスメタロプロテイナーゼ(MMP)-3値が、寛解の達成とそれに続くIFX治療離脱を予測する因子になるとの可能性を提示、第51回日本リウマチ学会の一般口演で4月27日に発表した。

 名和田氏らは、これまでに227例のRA患者にIFXを導入、その約3割に寛解を得ている。だが一方では、導入後6カ月を過ぎた頃から活動性が再燃し、制御不能となる症例も散見される。そこで同氏らは、IFX導入6カ月後における寛解達成を従属変数とする多変量ロジスティック解析を行い、疾患制御の良・不良を決する因子の同定を試みた。

 その結果、MMP-3、リウマトイド因子、血沈、朝のこわばり、腫脹関節数の各因子のうち、MMP-3値のみが22週目のACR70達成と有意な相関を呈した(P=0.0050)。患者をMMP-3高値群(≧400ng/dL)と低値群(<400ng/dL)に分けた場合、22週後の寛解(DAS28<2.6)達成率は、前者が10%未満であったのに対し、後者では30%を超えていた。同様に、低活動性(DAS28<3.2)達成率は、前者が20%弱、後者が60%強であり、いずれも後者が有意に優っていた。

 ところで、名和田氏らの施設では、IFX投与4回目(=14週目)より、活動性に応じて、(1)ステロイドを減量→中止、(2)非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を減量→中止、(3)メトトレキサート(MTX)以外の抗リウマチ薬(DMARDs)を減量→中止、の順で併用薬を中止したうえで、なおかつ寛解(DAS28<2.6)が24週以上継続している症例については、IFX治療からの離脱を考慮している。これにより、これまでに10例の患者がIFX離脱に成功、その後もなお寛解を維持しているという。

 これら10例の患者には、(1)全例が女性、(2)9割が早期症例(Stage IまたはII)で罹病期間が短い(平均36.1カ月)ことに加え、(3)MMP-3値が比較的低い(平均364.3ng/dL)という特徴が認められた。以上より名和田氏らは、IFX導入時の病期とMMP-3値が将来のIFXによる寛解の導入と、それに続くIFX治療の離脱の成否を左右するものと推測、「MMP-3値の低い早期症例は、将来の薬物治療離脱の可能性も視野に入れて治療を行っていくべきだろう」と述べ、時期を逸さない積極的なIFX導入の最適対象例であることを示唆した。