大阪大学の橋本淳氏

 日本で開発された生物学的製剤トシリズマブの1年後の関節破壊抑制効果が、治療3カ月目のCRPMMP3PIIANPなどの生化学的マーカーの変化で判定できることが新たに示された。抗リウマチ薬DMARDs)に抵抗性の患者を対象にした臨床試験のサブスタディとして、4月26日に開催された第51回日本リウマチ学会の一般口演で、大阪大学の橋本淳氏が報告した。個々の患者における生物学的製剤の効果を予測する新たな手段になる可能性もあり、会場の注目を集めた。

 これは、発症5年未満で1剤以上の抗リウマチ薬に抵抗性の関節リウマチRA)患者を対象とした第3相臨床試験SAMURAI(Study of Active Controlled Monotherapy Used for Rheumatoid Arthritis, an IL-6 inhibitor)研究の一環。

 生物学的製剤は、集団における骨・関節破壊の抑制効果は明らかになっているが、無反応例や効果不十分例も多い。このため、個々の患者における治療効果を適切に評価する手法の確立が求められていた。

 SAMURAIは無作為割り付け、オープンラベルの試験で、DMARDs効果不十分な306人のRA患者をトシリズマブ単独治療群(T群、158人)と既存治療群(C群、148人)の2群に割り付け、T群はトシリズマブ8mg/kgを4週に1回、13週間投与、C群はDMARDsを自由に使用する既存治療を実施した。主要エンドポイントであるmodified Sharp法による52週目のerosion(骨・関節びらん) scoreの変化が、T群ではC群に比べて少なく、トシリズマブの有効性が確認されている。

 今回の研究では、T群の患者を対象に、12週目までの生化学的マーカーとDAS28スコアの変化率の中から、1年後のerorsionスコアと関節裂隙狭小化JSN)スコアの変化率に最も強く関連する独立因子を求めた。

 その結果、erosion scoreについてはMMP-3、JSNスコアについては、PIIANP、MMP-3、CRPが有意な独立因子として抽出された。これらのマーカー値が大きく低下した好反応群とそうでない群に分け、1年後の関節破壊抑制効果について、反応不十分群に対する好反応群のオッズ比を求めたところ、いずれのマーカー値についても、12週目の値が良好な群は、有意に1年後の関節破壊が抑制されることが示された。

 フロアからは、本発表で抽出されたマーカーがTNFを標的とした生物学的製剤でも有効な可能性はあるか、という期待を込めた質問があったが、橋本氏は、「これらのマーカーが汎用的なものか、トシリズマブに特異的なものかは、まだ分からない。他の薬剤でも早く検証したい」としていた。