城北病院(金沢市)の中崎聡氏

 インフリキシマブIFX)に続き、第2の生物学的製剤としてエタネルセプトETN)が承認されてから2年。ともにTNF-αの抑制を機序とする両剤の違いが気になるところだ。

 城北病院(金沢市)の中崎聡氏らは、いずれかの薬剤で治療した関節リウマチRA)患者を1年にわたって追跡し、種々の臨床評価項目の推移や副作用の発現状況、治療継続率などを比較した結果、ステロイド減量効果はETNの方が強力である半面、継続率はIFXが優ること、副作用が投与初期に比較的集中してみられるIFXに対し、ETNは長期投与者にも副作用がコンスタントにみられるという違いを明らかにした。研究成果は、第51回日本リウマチ学会において、4月26日の一般口演で報告された。

 本検討の対象は、金沢リハビリテーション病院と城北病院外来で、IFXまたはETNによる治療を受けたRA患者184例(IFX群87例、ETN群97例)である。両群患者の年齢、性比、罹病期間、疾患ステージなどには有意な差は認められなかったが、両剤の用法と承認時期の違いから、メトトレキサートMTX)併用率(100% vs 22.7%、Pp<0.001)と観察期間(57カ月 vs 33.3カ月、Pp<0.001)に有意な違いがみられた。また、これまでに用いた抗リウマチ薬DMARDs)の数は、ETN群のほうが多かった(4.6個剤 vs 5.3個剤、Pp=0.034)。

 疾患活動性スコアDAS28)は、両群とも治療2週目までに有意に低下し、その水準は12カ月目まで良好に維持されていた。また、圧痛関節数身体機能、患者による疼痛評価、医師による全般的評価、C反応性ペプチド値CRP:炎症マーカー)なども同様の推移をたどり、12カ月時点の両群の有効性に有意な差は認められなかった。

 ただし、プレドニゾロン投与量の減少は、ETN群(ベースライン時5.2mg/日、12カ月目3.2mg/日)のほうがIFX群(ベースライン時5.4mg/日、12カ月目3.9mg/日)より大きかった(P<0.05)。一方で、両剤の1年継続率 注)は、ETN群の65%に対してIFX群が89%と、後者が有意に高率であった(P=-0.041)。

 副作用による中止例の内訳は、IFX群では投与時反応と感染症のほか、MTXに起因すると思われる間質性肺炎や肝障害もみられた。一方、ETN群の中止事例の大半は感染症によるものであった。IFX群の感染症はほとんどが呼吸器感染症であった一方、ETN群では他臓器への感染症も多くみられた。また、IFX群における副作用の発生が6カ月目までに集中していたのに対し、ETN群では長期投与者にもコンスタントに副作用の発生が認められた。

 すなわちETNでは、IFXより感染症の発生自体が多いだけでなく、発生臓器や発生時期も限定されにくいことが示唆される。現在、IFXおよびETN使用者は、市販後全例調査(PMS)のため胸部X線検査を含む検査を定期的に受けているが、中崎氏は、「特にETN使用者の場合は胸部X線以外の検査も大切」であり、「PMS終了後も感染症の可能性を常に念頭に置くことが必要だ」と述べ、継続的な注意を促した。


注) 投与継続率は、両群の観察期間を一致させるため、ETNが承認された2005年4月以降にIFXまたはETNの投与を開始した症例のみ(IFX群42例、ETN群97例)を解析の対象とした。