東京女子医大附属膠原病リウマチ痛風センター整形外科の望月猛氏

 下肢人工関節置換術で特に注意すべき合併症の一つとされる深部静脈血栓症DVT)。リスクを的確に評価して、早期に治療を開始することが重要だ。東京女子医大附属膠原病リウマチ痛風センター整形外科の望月猛氏らは4月27日、第51回日本リウマチ学会総会・学術集会のプレナリー(優秀演題)セッションで、関節リウマチRA)患者に人工股関節置換術THA)、または人工膝関節置換術TKA)を行う際、術前後の凝固・線溶系マーカーD-dimer値の差がDVTの発生予測に役立つ可能性を示唆した。

 日本血栓止血学会の「肺血栓塞栓症深部静脈血栓症静脈血栓塞栓症)予防ガイドライン」の整形外科手術に関する記述には、THA、TKAは静脈血栓塞栓症の「高リスク」とされている。

 さらに、これら「高リスク」の手術を受ける患者に、静脈血栓塞栓症の既往や血栓性素因が存在する場合は、「最高リスク」に位置付けている。THA、TKAはRA患者に行われる最も代表的な手術なので、DVTのリスクを的確に評価する方法が求められている。

 望月氏らは、THAまたはTKAを受ける目的で入院したRA患者310例を対象に、術前と術後1日目におけるD-dimer値の差(D-dimer)を求め、DVTとの関係を検討した。

 術後の超音波検査により、約2割でDVTが認められたが、D-dimerが10μg/mLを超えた場合のDVT陽性は93.9%、偽陽性は60.3%、15μg/mLを超えた場合はそれぞれ93.9%、54.3%、20μg/mLを超えた場合は70.6%、50.5%となり、15μg/mLを超えた場合に陽性率が高く、偽陽性率が比較的低かった。このことから、D-dimer 15μg/mLをカットオフ値として、DVTの予測が可能になるのではないかとした。

 一方、術前D-dimer値と術前CRP値との関連を検討したところ、どちらの値もDVTとの関連は見られなかったが、両値の間には正の相関が認められ、「D-dimer値=CRP値×0.3+1.4」という計算式が成り立つことがわかった。この計算式を使えば、術前CRP値から術前D-dimer予想値が得られる。術前にD-dimer値を測定していない場合でも、この予想値を用いてD-dimerを求めることで、DVTの予測が可能だという。