変形性関節症の新たな治療法の開発に取り組んでいる冨田氏

 変形性関節症(OA)の進行には、関節軟骨の炎症性変化もかかわっているが、この関節軟骨変性を抑えることでOAの進行を食い止めようとする新たな治療法の開発について報告があった。炎症性サイトカインの上流にある転写調節因子NFkB1を標的にした治療法で、動物実験では軟骨変性に有効であった。大阪大大学院の冨田哲也氏(写真)が4月27日、第51回日本リウマチ学会のシンポジウムで発表した。

 冨田氏らは、ラットの膝前十字靱帯を切離したOAモデルを用い、NFkB阻害薬の有効性を検討した。NFkB阻害薬には、NFkBの核内での結合部位に競合的に結合する核酸医薬NFkBデコイを使っている。

 動物実験の結果、NFkB阻害薬を関節内投与したグループで、炎症性サイトカインであるIL-1bやTNFaの濃度が有意に低下したほか、組織学的な検討では軟骨変性が有意に抑制されていた。

 冨田氏らはこれらの結果を踏まえ、既に2003年から人を対象とした臨床試験に取り組んでいる。低容量、中容量、高容量の3段階に分けたNFkBデコイ投与試験を計画。これまでに低容量、中容量の2段階が終了し、現在は最後の高容量の試験が進行中という。

 座長から人での成果を問われた冨田氏だが、「大学当局から口外を禁止されている」と言及を避けた。いずれ公開されるだろうが、今後の成果が期待される。