関節リウマチ(RA)患者は間質性肺炎を合併することが少なくない。いわゆるリウマチ肺のようにRAそのものの病変として現れるだけでなく、感染症やRA治療薬によって発症することもある。RA治療薬によるものとしては、頻繁に使用されるメトトレキサートMTX)に起因するMTX肺炎が問題視されている。東京女子医大附属膠原病リウマチ痛風センターの設楽久美氏らは、第51回日本リウマチ学会総会・学術集会の4月26日の一般口演で、約6000例のRA患者を対象とした前向きコホート研究を基に、男性RA患者では、新規のMTX肺炎の年間発症率が0.67%、リウマチ肺が0.15%だったことを報告、併せてMTX肺炎とリウマチ肺の発症関連因子を明らかにした。

 今回のデータは、同センターが2000年10月に開始した前向きコホート「IORRA」(Institute of Rheumatology, Rheumatoid Arthritis)で得られたもの。IORRAは年2回、毎回約5000人にのぼる患者の様々な情報を収集、患者からの調査用紙回収率も常に98%を超えるという信頼性の高い研究だ。2002年の日本リウマチ学会では、RA患者の死因の10%が間質性肺炎であったことを明らかにしている。

 設楽氏らは、IORRAに登録されたRA患者を対象に、MTX肺炎、リウマチ肺の罹患率と、それぞれの発症に関連する因子を検討した。全5699例のうち、患者申告によって間質性肺炎発症として抽出されたのは132例で、そのうち37例が医師により間質性肺炎と確認された。この37例中20例は薬剤によるもので、うち18例がMTX肺炎、ほか2例はブシラミンによる間質性肺炎。薬剤によるもの以外の17例中15例はリウマチ肺、残る2例は感染によるものだった。

 1000人当たりの年齢調整罹患率を算出すると、MTX肺炎は男性6.667、女性1.013、男女合わせて3.775、リウマチ肺は男性1.452、女性0.667、男女合わせて1.056で、MTX肺炎、リウマチ肺とも男性に多く発症することが分かった。男性RA患者では、MTX肺炎の新規の年間発症率は0.67%、リウマチ肺は0.15%になる。

 さらに、MTX肺炎とリウマチ肺の発症関連因子を検討するため、単変量解析、多変量解析、ステップワイズ変数選択を行ったところ、MTX肺炎では男性、JHAQ(Japanese Health Assessment Questionnaire)高値、pain-VAS(Visual Analogue Scale)低値、ESR高値が、リウマチ肺では男性のみが有意な関連因子として抽出された。

 設楽氏は、今回の研究には、患者が間質性肺炎発症を記載しない場合や、コホートからの脱落による偽陰性の症例が含まれる可能性はあるが、偽陽性はないため、得られた罹患率は下限値と考えられるとしていた。