東京女子医大附属膠原病リウマチ痛風センターの中島亜矢子氏

 抗リウマチ薬の進歩が実地臨床の患者の予後にどんな影響を与えているのか。「発端コホート」と呼ばれる観察研究の結果、2000年から2006年にかけて、特にメソトレキサートMTX)の使用が大幅に増え、治療開始後の機能改善度も年を追って向上していることが分かった。東京女子医大附属膠原病リウマチ痛風センターの中島亜矢子氏が、第51回日本リウマチ学会総会・学術集会の一般口演で、4月26日に報告した。

 「発端コホート」は、毎年新たに発症する関節リウマチ患者を年次ごとのコホートと見なして、1年間追跡するもの。東京女子医大のリウマチ患者前向き観察研究「IORRA」(Institute of Rheumatology, Rheumatoid Arthritis)の一環として実施された。

 IORRA研究では、2000年10月から半年ごとに患者調査を実施し、新規登録と既存患者の追跡を行っている。中島氏らは、2000年10月と2001年4月に初回登録した発症後1年未満の患者を「コホートA」とし、以後、2回調査分を各1年次分とした5年次分のコホートA〜Eについて登録から1年間追跡し、アウトカムを解析した。

 その結果、各コホートの登録時の背景や重症度には大きな違いはなかったが、発症年次によって治療内容が変遷していた。特にMTXは、2000〜2001年登録のコホートAでは登録時の使用頻度が10%程度だったが、2004〜2005年登録のコホートEでは、30%弱と顕著に増えており、登録時の投与量も後年ほど増加していた。

 一方、患者の予後は、年を経るにつれて改善する傾向が見られた。機能障害の程度などを示すJHAQスコアの登録時と1年後の値を見ると、初回コホートAでは0.75から0.58までの改善だったのに対し、最新コホートEでは0.68から0.39まで改善し、改善の程度は有意に向上していた。

 こうしたことから中島氏は、治療法の進歩と患者予後の改善の関係が確認されたと結論づけていた。