藤田保健衛生大の松本美富士氏

 線維筋痛症は全身性に疼痛が生じる慢性疾患で、厚生労働省の調査から、有病率は人口の約1.7%、患者数は200万人程度と推定されている、しかし、3都県で一般医と患者を対象に行われた調査から、一般医の25〜30%、患者の9割以上が病名すら知らないことが明らかになった。藤田保健衛生大の松本美富士氏が4月26日、横浜で開催中の第51回日本リウマチ学会総会・学術集会の一般口演で報告した。

 松本氏らは、三重県中勢地区、名古屋市瑞穂区、東京都千代田区・中野区で、内科、整形外科リウマチ科、小児科など、線維筋痛症の患者が受診する可能性がある10種類の標榜科のプライマリケア医約3000人を対象に、郵送アンケートを実施した。回収率は平均38.3%だった。

 その結果、疾患概念まで認知していると答えた医師は、全体で32.2%、病名は知っていると答えたのは38.4%で、28.4%は病名すら知らなかった。

 認知度には地域差があり、東京都の医師は40.8%が疾患概念を知っていたが、名古屋では34.1%、三重では30.5%と、地方ほど有意に低かった。

 一方、三重県中勢地区と名古屋市瑞穂区で、一般住民を対象にした電話調査で同様の内容について聞いた。1117人に対して実施した調査で440人(平均39.4%)が回答した。その結果、線維筋痛症という病名を知っていた一般住民は平均8%で、9割以上が病名を知らなかった。地域差も大きく、名古屋の住民は18.9%と2割近くが知っていたが、三重の住民の認知率は2.4%にとどまった。

 医師の認知度はいくつかの背景因子と関係があった。60歳以上では病名を知らない比率が4割を超えていたが、60歳未満では2割強だった。また、標榜科による違いは大きく、リウマチ科や整形外科では病名非認知者の比率が1割を切っていたが、小児科や外科は5割前後と多かった。リウマチ科医は他のすべての標榜科の医師に対して有意に認知率が高かった。

 松本氏は本調査を基に、「日本では線維筋痛症の認知度が低く、適切な治療の機会が得られていない状態。厚労省の2004年調査によると、線維筋痛症でリウマチ医を受療した患者は年間で4000人弱に過ぎない」として、「学会やメディアによる啓蒙活動が不可欠」と強調していた。