横浜市の大規模コンベンション施設「パシフィコ横浜」で4月26日から29日までの4日間にわたり、第51回日本リウマチ学会の年次学術集会が開催される。今学会のトピックスについて、今期会長を務める日大整形外科主任教授の龍順之助氏に聞いた。

日本リウマチ学会の今期会長で日大整形外科主任教授の龍順之助氏

――生物学的製剤に関する演題が豊富ですね。
龍 日本リウマチ学会は、2006年に第50回の年次学術集会を開催しました。今期は第51回で、新たな区切りのスタートということで、「次なる半世紀に向けて リウマチの病態解明と治療の新たなる挑戦」というテーマにしました。

近年、リウマチの治療法が大きく変わりました。その中心が生物学的製剤で、上手に使うことで劇的な効果が得られます。現在、日本には約60万人のリウマチ患者がいるとされますが、その10〜15%は生物学的製剤を使う必要があると考えられます。

 半面、これまでは生物学的製剤の良い点ばかりが強調されてきましたが、患者の30%程度は治療に反応しない、薬剤コストがかなり高い、といった問題点があります。どのくらいの期間使うべきか、やめたらリウマチが再燃するのか、生涯使わなければならないのか、などの点もよく分かっていませんでした。今学会では、このあたりの理解がメインテーマになると思います。

――そのほかの薬剤についての話題はいかがでしょう。
龍 生物学的製剤以外の代表的な抗リウマチ薬として、メソトレキサート(MTX)があります。従来、MTXは“怖い薬”とされ、大病院の内科の医師が主に使ってきました。今期大会ではMTXの合併症や使い方を取り上げ、理解を促したいと思います。

 リウマチ患者さんは非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)を長期間使用しますが、副作用として消化管潰瘍があります。NSAIDsの鎮痛作用で潰瘍の痛みがマスクされるため、表面化しているのは一部に過ぎないでしょう。日本でもようやく承認されたCOX-2選択的阻害薬の登場は、こうした副作用を減らす可能性があります。これも今年のトピックです。

――薬物治療以外の話題を挙げてください。
龍 リハビリテーションは基礎療法、薬物療法、外科療法とともにリウマチ医療の4本柱の一つですが、あまり取り上げられてきませんでした。リウマチ友の会のアンケートによると、医師からリハビリについての説明がなかったので取り組まなかったという回答が少なくありません。家庭でもできる手軽なリハを医師に対しても啓発していきたいと考えています。

 抗CCP抗体検査も注目すべき話題です。最近ではリウマチの診断がつくと有効な薬を早く使い、可能な限り骨破壊を進行させない治療が行われるようになってきました。そのためには早期診断が重要です。今年4月に保険適用された抗CCP抗体検査は特異度、感度とも高く、早期診断に有用だと考えられます。今回はシンポジウムで取り上げます。

――日常臨床の場におけるリウマチ医療の姿について教えてください。
龍 開業医の先生方も将来的には生物学的製剤を使うことになると思います。リウマチ薬物治療の主役は、NSAIDsとステロイド、抗リウマチ薬でした。新たに生物学的製剤が加わります。選択肢が増えるのは歓迎すべきことでしょう。

 2005年にリウマチ薬物療法と手術療法のガイドラインが作られています。しかし、当時は生物学的製剤が認可されていませんでした。抗CCP抗体検査が保険適用されるなど、診断法も変わってきたので、今後、ガイドラインの改定作業がぜひ必要でしょう。

 あまり効かない抗リウマチ薬を使い続け、関節の変形が進行するのを手をこまぬいてみている、といった旧態依然の治療をしていたら訴訟問題になりかねません。関節破壊を予防する、より積極的な治療をしないといけないと考えています。

 今学会で新しい治療法や診断法を習得していただきたい。学会が終わった翌週からの実際の臨床にすぐに役立つ情報が得られます。リウマチ医療に対する考え方が変わると思います。