東京女子医科大学膠原病リウマチ痛風センター所長の鎌谷直之氏は、個人のゲノム変異の情報に基づいた4種類の個別化医療を既に開始していることを明らかにした。4月26日のシンポジウム「関節リウマチの経過と予後予測」で発表したものだ。

 鎌谷氏らが開始している個別化医療は、
(1) NAT2(Nアセチルトランスフェラーゼ2)遺伝子のハプロタイプ情報に基づくスルファサラジンの副作用の予測
(2) MTHFR(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)遺伝子の677番目の塩基がCかTであるかの遺伝子型に基づいたメトトレキサートの副作用の予測
(3) MTHFR遺伝子の1298番目の塩基がAかCであるかの遺伝子型に基づいたメトトレキサートの効果の予測
(4) SAA1遺伝子の上流、-13番目の塩基がTであるかCであるかの遺伝子型に基づいたアミロイドーシス合併の予測

の4種類だ。既に約150例が検査を受けているという。

 (1)の個別化医療では、NAT2の野生型のハプロタイプを持たない症例で副作用の頻度が高いことが明らかにされている。そこで野生型のハプロタイプを持っていないリスクの高い患者をスルファサラジンの治療から除外するというアルゴリズムを作製した。その結果、スルファサラジンの治療から6.4%の患者が除外されるが、重症の副作用の頻度は2.1%から0.97%に減らせられるという。

 (2)と(3)については、メトトレキサート投与歴のある209例について総投与量300mg以内に生じた副作用と、週6mg以下で開始された症例の12カ月後の増量について遺伝子型別に検討した結果によるもの。MTHFR遺伝子の677番目の塩基がTである場合、メトトレキサートによる全副作用、肝機能異常の頻度が有意に高かった。またMTHFR遺伝子の1298番目の塩基がCである遺伝子型の場合、メトトレキサートの投与量が有意に少なかった。

 (4)については関節リウマチ患者の約10%が起こすアミロイドーシスを防ぐもので、AA1遺伝子の上流、-13番目の塩基が2つともCである場合にアミロイドーシスを起こしにくいことが分かっている。C以外の塩基を持つ患者は約8%だという。

 また、鎌谷氏らは752人の関節リウマチ患者の200遺伝子、5000SNPを解析することで、ある1つの遺伝子のハプロタイプが特定の薬剤の副作用と強く関連することも見いだしているという。