九州大学医学部整形外科の牧野晋哉氏は、「若年性特発性関節炎JIA)の関節破壊に対するインフリキシマブの効果を理解する上で興味深い2例を経験した」として、これを報告した。インフリキシマブは、JIAの関節破壊も抑制するとともに、著効例ではその修復にも期待が持てるという。本症例は、4月24日のポスターセッションにて発表された。

 症例1は、11歳でJIAを発症、インフリキシマブ投与開始は15歳であった。メトトレキサート14mg/週とプレドニゾロン12.5mg/日を投与するもコントロールが得られず、X線所見での関節破壊が明らかとなり、インフリキシマブの適応と判断された。計5回のインフリキシマブ投与が行なわれた。手指と足趾ではX線にて関節破壊の抑制が認められたが、肩関節では破壊が進行した。

 症例2は、10歳でJIAを発症、インフリキシマブ投与開始は20歳であった。症例1と同様、メトトレキサート12mg/週とプレドニゾロン6mg/日による治療でコントロール不良。インフリキシマブ投与開始時、既に両股関節の高度破壊が認められており、人工関節の適応ありと判断された。しかし、関節置換術の計画中にX線上のわずかな改善傾向が認められたため、手術計画を保留してインフリキシマブ投与下に経過観察したところ、股関節の関節裂隙の開大や骨嚢胞の消失や関節面鮮鋭化など、関節修復を示唆するX線所見が得られた。

 関節リウマチに対するインフリキシマブ療法ではATTRACT試験、ASPIRE試験などの大規模臨床試験により、症状のみならず関節破壊の進行も抑制することが報告されている。JIAでも同様な効果が得られるか否か不明であったが、この2例の報告から、インフリキシマブはJIAの関節破壊に対しても進行を抑制、さらには修復しうる可能性のあることが示唆された。