ベラプロストナトリウム(BPS)は肺高血圧症の治療において、最初に用いることを勧めることができる薬剤だが、治療効果が6カ月までに見られないときは、治療限界例であり、他の治療戦略を考慮すべきだ―。北里大学医学部膠原病感染内科の田中住明氏らが「膠原病合併肺高血圧症(CTD-PH)74症例における予後決定因子の検討:beraprostsodium(BPS)治療の適応と限界」と題して発表した。

 ベラプロストナトリウム(BPS)は経口投与可能なプロスタサイクリン誘導体製剤。田中氏らは1980年から2005年9月30日までの間に治療した膠原病合併肺高血圧症の患者74人を対象に、BPSの有用性を確認するため後向きコホート研究を行った。

 患者の原疾患は強皮症(29人)、全身性エリテマトーデス(20人)、混合性結合組織病(12人)、シェーグレン症候群(5人)など。膠原病の発症年齢は平均39歳、膠原病発症から肺高血圧症の発症までの期間は平均6.2年で、発症年齢が高いほど、肺高血圧症の発症までの期間は短い傾向にあった。

 BPS治療患者(40人)の膠原病合併肺高血圧症の死亡ハザード比は0.4と低く、BPS治療以外の治療(ワルファリン、酸素投与、ステロイド大量療法)に比べて、有効であることが確認された。また累積生存率から求めた推定平均余命は、BPS治療の患者では肺高血圧症の発症から約13年、それ以外の治療を受けた患者では約9年と短かった。

 つぎにBPS治療開始から6カ月までに治療効果があった群となかった群で比較した。反応性の有無は、NYHA機能分類でクラス2以上の患者はクラスが改善、クラス1の患者は増悪なし、を基準とし、エンドポイントは治療法の変更あるいは死亡とした。その結果、治療6カ月までに改善が見られた反応群(20人)の死亡ハザード比は0.12と低く、BPS治療開始からの推定平均余命は9.0±1.2年だが、反応性が悪い群(20人)の推定平均余命は3.3±1.0年と非常に短かった。

 このことからBPS治療では半年間の反応性で予後がある程度決まるともいえ、「治療6カ月目の治療効果判定が、その後の治療選択において重要な決定因子のひとつ」と田中氏らは結論づけた。