忍容性の問題からインフリキシマブの減量を余儀なくされた関節リウマチ患者でありながら、意外にも、良好な治療効果が持続する場合もあるという。そうしたケースに遭遇した東邦大学大森病院の西尾信一郎氏らは患者の血中薬物動態を検討したところ、常用量並みの血中インフリキシマブ濃度が得られていることがわかった。同氏らは、何らかの要因でインフリキシマブの血中濃度の維持が示唆されるとして、4月24日のワークショップで本症例を紹介した。

 経験された症例は2例。

 1例目は67歳女性。高用量のメトトレキサート+プレゾニゾロンに対し治療抵抗性を示し、高活動性であったため、インフリキシマブ3mg/kgの併用を開始。これにより赤沈とCRPは著明改善をみたが、感染症を合併したことでインフリキシマブは漸減された。その後は本人希望にて、インフリキシマブを中止することなく1〜0.7mg/kgで継続され、臨床経過は良好であった。

 2例目は57歳女性。1例目と同様の理由によりインフリキシマブ3mg/kgが併用され、赤沈とCRPは改善したが、前述の症例と同じく感染症の合併をみたため、インフリキシマブを半量にして投与したが、その後の臨床経過は良好であった。

 2例とも、通常の1/2〜1/3という低用量のインフリキシマブ投与にもかかわらず、良好な経過が得られた理由を探索するため、経日的に血中インフリキシマブ濃度を測定した。その結果、通常用量の3mg/kgが投与された患者と同レベルのトラフ値(次の薬剤投与日の直前に測定した値)が認められ、その値は各々0.5μg/mLと1.2μg/mLであった。

 同氏はあくまで仮説とした上で、「体内におけるインフリキシマブの分解機構が、これらの患者では何かしら変化しているのかもしれない」と考察し、口演を締めくくった。実地臨床ではインフリキシマブの血中濃度を測定し続けることは容易でないため、本症例は貴重な知見となるだろう。