産業医科大学医学部第一内科学講座教授の田中良哉氏(写真)は、B細胞抗原CD20を標的としたキメラ・モノクローナル抗体製剤であるリツキシマブの全身性エリテマトーデスSLE)を対象としたフェーズ1/2臨床試験の中間解析で有望な結果が得られたことを明らかにした。また、近く30数施設が参加するフェーズ2/3臨床試験が開始されるという。成果は4月24日に開催されたシンポジウム「全身性エリテマトーデス:発症の分子機序と新たな治療」で発表された。

 フェーズ1/2臨床試験は、新GCPに準拠した試験でSLE患者15例を対象に行われた。対象となった患者は、ステロイドによる治療にもかかわらず中等度から重度のフレア(SLEの疾患活動性の指標であるBILAGカテゴリーA症状を1つ以上、あるいはカテゴリーB症状を2つ以上有する症例)を持つ患者を対象とした。全薬工業の臨床試験として国内7施設で行われた。

 5例で悪性リンパ腫の治療で用いられている用法・用量である500mgのリツキシマブ毎週4回投与の安全性忍容性について検討したあと、10例で欧米におけるSLE対象に行われている用法・用量である1000mgの隔週2回投与の安全性・忍容性を検討した。リツキシマブの投与はBリンパ腫に対する場合の投与と同様に点滴静注で行われ、低速投与から開始し、徐々に投与スピードを加速させた。

 その結果、全例で、末梢血中のB細胞の枯渇が確認され、その状態を数カ月維持することができた。そして、B細胞の減少に伴って、抗ds抗体などの自己抗体価が減少し、CRPや補体値が改善した。

 BILAGスコアによる治療効果判定でMajor Clinical Response(28週目までに新たなフレアを発症することなく、疾患活動性がBILAGカテゴリーC以下まで低下)を達成したのは評価可能13例中2例だった。28週目に疾患活動性が残存する(カテゴリーBが1つまで)Partial Clinical Responseを達成したのは7例、効果がなかったのは4例だった。

 一方、注射時反応は浮腫や倦怠感が認められたが、一過性かつ軽微で、Bリンパ腫に投与する場合に比べて発現頻度、重症度ともに低かったという。また、リツキシマブ投与後の観察期間中にB細胞減少などによる免疫能低下が原因と思われる数件の感染症が発生したが、いずれも経口抗生剤の投与によって改善したという。