聖隷三方原病院循環器内科の若林康氏

 高齢出産の増加に伴って、循環器関連の周産期合併症のリスクの上昇が懸念されている。今回、聖隷三方原病院(浜松市)循環器内科の若林康氏、竹内泰代氏らは、5年間の妊娠出産例のデータを解析し、加齢に伴って妊娠高血圧の頻度が高まることを明らかにした。9月23〜25日まで開催されていた第59回日本心臓病学会(JCC2011)において報告した。

 これまで、高齢出産では妊娠高血圧の合併頻度が高いといわれてきた。また、周産期心筋症はわが国ではまれな疾患だとされているが、その発症頻度は統計によってさまざまである。そこで、5年間の医療記録を用いて、妊娠出産に関わる高血圧合併の頻度と周産期心筋症の発症頻度を検討した。

 対象は2005年9月1日から2010年8月31日までの5年間に、聖隷三方原病院で出産した4114件。母体の平均年齢は30.9歳、30歳以上の症例が61.8%を占めた。また、帝王切開は522件(12.7%)、多胎出産は112件(2.7%)であった。

 妊娠高血圧あるいは子癇は182件(4.4%)で認められ、年齢別の発症件数(発症率)は、24歳以下が9件(2.3%)、25〜29歳が41件(3.5%)、30〜34歳が69件(4.4%)、35〜39歳が53件(6.3%)、40〜44歳が10件(6.9%)と、出産年齢の上昇に伴って妊娠高血圧の発症率は上昇することが明らかになった。

 一方、周産期心筋症の疑い例は2例だった。臨床経過から、1症例のみが産褥心筋症と判定され、最終的に周産期心筋症の罹病率は0.02%(4114例中1例)と算出された。

 以上の検討から若林氏は、「母胎年齢が高いほど妊娠高血圧の頻度は上昇したことから、高齢出産における周産期管理には、より一層の配慮が必要だ」と結論した。また、今回の検討では周産期心筋症の発症はまれであったが、周産期心筋症は発症すると拡張型心筋症類似の病態を呈し、重篤な経過をたどることがあるため、適切なタイミングでの治療介入が行えるように、産科と循環器科の医師の協力が不可欠だと指摘した。

(日経メディカル別冊編集)