川口市立医療センター循環器科の河内謙次氏

 シスタチンCの測定は、急性冠症候群(ACS)患者の予後評価に有用であることが報告された。川口市立医療センター循環器科の河内謙次氏らが、9月23〜25日まで開催されていた第59回日本心臓病学会JCC2011)で発表した。

 近年、シスタチンCは、クレアチニンよりも軽度から中等度の腎機能障害の評価に優れており、将来の心血管イベントの予測においても有用であると報告されている。今回河内氏らは、ACS患者の予後評価におけるシスタチンC測定の有用性を後ろ向きに検討した。

 対象は、2008年1月から2009年12月までに川口市立医療センターのCCUにACSで入院した連続125例で、全例プライマリPCIを実施した。PCI施行前にシスタチンCを測定し、シスタチンCが正常上限値の0.95mg/Lより高かった群(高値群、41例)と、0.95mg/L以下であった群(低値群、84例)の2群に分類した。

 患者背景をみると、男女比、CKピーク値、LDLコレステロール値、HbA1c値、左室駆出率などには差がなかった。一方、年齢は高値群が71.2歳、低値群が63.2歳、シスタチンCはそれぞれ1.82mg/L、0.73mg/L、CRPはそれぞれ2.29mg/dL、0.76mg/dL、NT-proBNPはそれぞれ21048.75pg/mL、807.50pg/mLと、高値群で有意に高かった。一方、推算糸球体濾過量(eGFR)は順に40.01mL/min、68.67mL/min、HDLコレステロールは42.80mg/dL、47.74mg/dLと、高値群で有意に低かった。

 院内死亡と心血管イベント(心臓死、うっ血性心不全増悪による入院、狭心症)をエンドポイントとして、平均315日間にわたり追跡した。その結果、院内死亡は高値群が9.8%だったのに対し低値群は1.2%、心血管イベントは高値群が19.5%、低値群が6.0%と、いずれも高値群で有意に高かった(ともにp<0.05)。

 年齢、NT-proBNP、eGFR、白血球数、CRPで調整したCox比例ハザードモデルを用いた多変量解析では、院内死亡、心血管イベントのいずれにおいてもシスタチンC高値のみが独立した予後規定因子で、シスタチンC高値のハザード比は、院内死亡が15.28(p=0.04)、心血管イベントが4.81(p=0.031)であった。

 また、Kaplan-Meier曲線で心血管イベント無発生率を解析したところ、低値群は高値群に比べて有意に高かった(p=0.008)。

 これらの結果から河内氏らは、「ACS患者において、シスタチンC値の測定は予後評価に有用である」と結論した。

(日経メディカル別冊編集)