大原綜合病院附属大原医療センター循環器内科の山寺彩氏

 心房細動AF)患者の左心耳内血栓の検出法として経食道心エコー(TEE)は有用だが、完全な非侵襲的検査法とは言い難い。大原綜合病院附属大原医療センター(福島市)循環器内科の山寺彩氏らは、320列MDCT(Area Detector CT)を用いることで、TEEと同様に左心耳内血栓が検出できることを明らかにし、その詳細を9月23〜25日に開催されていた第59回日本心臓病学会JCC2011)で報告した。

 山寺氏らの研究グループは、TEEを用いてAF患者における左心耳内血栓を分類し、可動性ボール状血栓は塞栓症の発症リスクが高いことを報告してきた。今回、完全な非侵襲的検査法であるMDCTでTEEと同様に左心耳内血栓が検出可能か、さらに左心耳内血栓の部位診断や形態分類まで行えるかを検討した。

 対象は320列MDCTを用いて冠動脈CT検査を行い、かつTEEを施行したAF患者22例。年齢は69.6±8.77歳(男性比率63.6%)、MDCT施行時にAFの心電図所見が認められた患者が72.7%、心臓弁膜症合併率は31.8%だった。また、MDCTとTEEの施行間隔は、平均32.3日だった。

 MDCTで左心耳内血栓ありと判定された症例は22例中13例で、そのうち12例はTEEでも左心耳内血栓ありと診断された。一方、MDCTで左心耳内血栓なしと判定された9例中、1例はTEEにより左心耳内血栓ありと診断された。

 この結果から、MDCTによる左心耳内血栓検出の感度は92.3%、特異度は88.9%、陽性的中率は92.3%、陰性的中率は88.9%と算出された。なお、MDCTで左心耳内血栓を検出できなかった1例は、TEEでは可動性ボール状血栓と診断されたが、TEEでも「もやもやエコー」との鑑別が困難な症例であった。

 また、MDCTで左心耳内血栓の部位診断を行った9例の結果は、TEEによる部位診断の結果と完全に一致したことから、MDCTでも左心耳内血栓の部位診断は可能と考えられた。しかし、MDCTでは左心耳内血栓の形態分類は困難だった。

 なお、MDCT施行時にAFの心電図所見が認められた患者のみを対象とした検討では、MDCT上で左心耳内血栓を認めても、左心耳血流速度の有意な低下は見られなかった。

 以上の検討から山寺氏は、「心房細動患者において320列MDCTによる左心耳内血栓の検出率は高く、臨床的にも有用なツールになりうる」と結論。その上で、TEEで可動性ボール状血栓と「もやもやエコー」との鑑別が困難な症例はMDCTでも判定できない可能性があること、ADCTでは血栓部位の診断は可能であっても、形態分類は困難であることに注意を促した。

(日経メディカル別冊編集)