広島市民病院循環器内科の三木崇史氏

 ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の超急性期に再灌流療法を施行した症例において、異常Q波の深さ・幅・認める誘導数などから算出するQRSスコアが、梗塞サイズの予測因子として有用であると報告された。広島市民病院循環器内科の三木崇史氏らが、9月23〜25日に開催されていた第59回日本心臓病学会(JCC2011)で発表した。

 STEMIでは、発症から再灌流までの時間は梗塞サイズを大きく左右する。発症1時間以内の超急性期に再灌流すれば、梗塞に至らない場合がある一方で、大きな梗塞を生じる場合もある。今回、三木氏らは、超急性期に再灌流に成功したSTEMIにおける梗塞サイズを予測する因子として、入院時心電図のQRSスコアの有用性を検討した。

 対象は、発症1時間以内に冠動脈造影を施行し、左前下行枝の完全閉塞(TIMI flow 0/1)を認めた初回前壁STEMIの37例。全例でプライマリPCIが行われた。対象は、CKピーク値が500 IU/L未満のaborted MI(A群、8例)、同500〜3000 IU/Lのsmall MI(S群、14例)、同3000 IU/L以上のlarge MI(L群、15例)の3群に分類した。

 患者背景に関して、年齢はA群(70±15歳)、S群(64±11歳)、L群(58±11歳)の順に高かったが有意差はなかった。女性の割合はA群(63%)、S群(21%)、L群(7%)の順に有意に多かった(p=0.01)。糖尿病に関しては、A群、S群がともに0%で、L群のみ33%だった(p=0.001)。入院時の投薬内容は、アスピリンやCa拮抗薬、β遮断薬、スタチンなどで3群間に有意差はなかった。

 これらの症例の入院時心電図でQRSスコア(平均±標準偏差)を求めたところ、A群が2.1±2.3点、S群が3.4±2.4点、L群が6.4±3.1点と、梗塞サイズが大きくなるほど、QRSスコアも有意に高くなっていた(p=0.001)。

 受信者動作特性曲線(ROC曲線)解析でlarge MIを予測するQRSスコアを求めたところ、QRSスコア6点以上をカットオフとすると、曲線下面積(AUC)が0.82、感度が67%、特異度が77%となった。同様にaborted MIについては、QRSスコア1点以下をカットオフとすると、AUCが0.77、感度が63%、特異度が56%だった。

 これらの結果を踏まえ三木氏は、「超急性期に再灌流療法を施行した症例では、入院時のQRSスコアは梗塞サイズの予測因子として有用である」と結論とした。

(日経メディカル別冊編集)