信州大学保健学科内科学の本郷実氏

 血清尿酸値が高い男子中学生では、心血管危険因子が集積している可能性があるという――。信州大学保健学科内科学の本郷実氏らが、9月23〜25日まで開催されていた第59回日本心臓病学会(JCC2011)で報告した。

 欧米では、血清尿酸値は年齢を問わず生活習慣病と関連するとされる。しかし日本では成人を対象とした報告にとどまり、児童における尿酸値の影響は明らかではない。だが長野県における虚血性心疾患の疫学調査から、若年層の虚血性心疾患のリスク因子として、18歳になる前の肥満、喫煙、食習慣の乱れ、運動不足が抽出された。そこで本郷氏らは、2005年から県内の3つの中学校の生徒を対象に、生活習慣病調査を開始した。

 今回は2005年4月〜2008年6月に中学校に在籍した生徒958人(男子518人、女子440人、年齢12.1〜15.0歳)のデータの中間解析結果を基に、一般中学生における血清尿酸値と心血管危険因子との関連について発表した。

 調査では、生徒の学校健診時に通常の健診項目に加え、血清尿酸、腹囲、血圧、LDLコレステロール、HDLコレステロール、トリグリセリド、空腹時血糖、HbA1cを測定し、肥満度(標準体重に対する比率)も算出した。

 その結果、肥満は8.7%に、腹部肥満は8.4%に、高血圧は3.4%に、脂質異常症は9.6%に認められた。また、空腹時高血糖は6.2%に、高尿酸血症(>7.0mg/dL)は6.8%に認められたが、男子に限ればそれぞれ7.3%、12.4%と、より頻度は高くなった。男子4人は、メタボリックシンドロームと診断された。

 男子の血清尿酸値の平均は5.64±1.17mg/dLだった。これを下位からQ1群(4.9mg/dL以下、136人)、Q2群(5.0〜5.6mg/dL、130人)、Q3群(5.7〜6.3mg/dL、123人)、Q4群(6.4mg/dL以上、129人)に分類、Q1群を1として心血管危険因子(腹部肥満、高血圧、脂質異常症、空腹時高血糖の4項目)のオッズ比を算出した。

 一方、女子の平均値は4.46±0.82mg/dLで、Q1群(3.9mg/dL以下、116人)、Q2群(4.0〜4.4mg/dL、102人)、Q3群(4.5〜4.9mg/dL、105人)、Q4群(5.0mg/dL以上、117人)に分類し、同様に検討した。

 その結果、男子のQ4群における腹部肥満の合併リスクはQ1群の7.26倍(p<0.001)、高血圧は2.95倍(p<0.01)、脂質異常症は4.25倍(p<0.01)と、それぞれ有意に高かった。さらにこれら4項目中2項目以上の危険因子が集積するリスクも、Q4群では2.59倍と有意に高かった(p<0.05)。女子では、Q4群における有意な危険因子は、腹部肥満のみだった(4.01倍、p<0.01)。

 さらに、複数の心血管危険因子の存在を予測する血清尿酸値を受信者動作特性曲線(ROC曲線)で求めたところ、そのカットオフ値は男子が6.4mg/dL、女子が4.9mg/dLとなった。

 以上の結果から本郷氏は、「女子にリスクが少ない理由は、エストロゲンの作用が関与しているのだろう。一方、日本人男子中学生では、血清尿酸値が心血管危険因子と強く関連することが示唆された。今回得られたカットオフ値も参考に、児童の生活習慣病予防プログラムを考えたい」と総括した。

(日経メディカル別冊編集部)