徳島大学循環器内科学の添木武氏

 心房細動患者において、ペントラキシン3(PTX3)がCRPやインターロイキン6(IL6)、腫瘍壊死因子α(TNFα)などの炎症マーカーよりも、心房局所での炎症を鋭敏に反映する可能性が報告された。徳島大学循環器内科学の添木武氏らが、9月23日から25日まで神戸市で開催されている日本心臓病学会(JCC2011)で発表した。

 CRPはshort pentraxinに属し、炎症により肝臓で産生される。一方、long pentraxinに属するPTX3は炎症シグナルにより血管由来細胞から短時間で産生されるため、直接的な血管傷害の把握が可能であるとされている。ヒトの動脈硬化病変内のマクロファージや血管内皮細胞などがPTX3を産生することは、既に確認されている。最近、血漿PTX3値が心房細動患者において上昇しており、CRPやIL6と異なり、心房サイズと関連している炎症マーカーであることも示されている。そこで添木氏らは、心房細動患者で左心房内の局所炎症反応について複数の炎症マーカーを比較検討した。

 対象は、肺静脈隔離術を行った心房細動患者14例(年齢63±17歳、男性12例)。対照群は、心房中隔欠損症あるいはWPW症候群(アブレーション症例)の患者8例(年齢64±7歳、男性5例)とした。両群間で年齢や性別、高血圧症などに有意差はなかった。両群の患者の末梢および左心耳から血液を採取し、それぞれの部位でCRP、IL6、TNFαおよびPTX3の血中濃度を測定した。

 その結果、心房細動患者におけるPTX3値は、末梢が2.9±0.4ng/mL、左心耳が3.3±0.5ng/mLと、左心耳の方が有意に高かった(p<0.01)。対照群では末梢、左心耳ともに2.4±0.5ng/mLで差はなかった。また、末梢、左心耳のいずれにおいても、PTX3値は心房細動患者群が対照群より有意に高かった(順にp<0.01、p<0.05)。一方、CRPやIL6、TNFαについては、心房細動患者群、対照群のどちらにおいても、部位による有意な差はみられなかった。

 これらの結果から添木氏は、「心房細動患者において、PTX3値は今までに心房細動との関連が報告されている他の炎症マーカーよりも、心房局所での炎症を鋭敏に反映する」との考えを示した。

(日経メディカル別冊編集)