9月26日から27日に大阪市で開催された日本乳癌学会学術総会で、国内の臨床試験でのセンチネルリンパ節(SLN)生検の高い同定率と安全性が示された。「臨床的腋窩リンパ節転移陰性の原発性乳癌に対するセンチネルリンパ節生検の安全性に関する多施設共同臨床確認試験」について、実行委員会委員長を務める聖路加国際病院乳腺外科の中村清吾氏が中間報告を行った。

 SLN生検は正確に進行度を診断する手術手技として日常診療に定着してきているが、日本では保険適応が得られず先進医療として施行されている。今年4月に開始された高度医療評価制度において本試験が計画され、保険収載を目指すこととなった。

 本試験の対象はTis-T3N0M0、ステージ0〜IIIAの乳癌患者。今年3月に登録を開始し、8月末には目標の1600例を超える1793例が登録された。参加施設は全国47施設。主要評価項目は安全性、副次的評価項目は同定率とした。

 色素はインドシアニングリーン(ICG)とインジゴカルミン、アイソトープ粒子はスズコロイド、フチン酸、人血清アルブミン、アイソトープ核種は99mTcを使用した。方法は色素法、アイソトープ法(RI)、併用法とした。

 参加施設は事前に標準手技、患者登録時に同生検の予定、術後7日以内に結果をデータセンターに報告し、重篤な有害事象は発生の72時間以内に報告書を提出することとした。ウェブサイトでも本試験の情報を公開した。

 中間報告では、術前診断では浸潤癌85.3%、非浸潤癌14.7%であった。原発巣主占拠部位はC領域(外上部)43.9%、A領域(内上部)21.9%の順に多く、ステージではIが54.0%、IIAが28.7%の順であった。

 方法では色素+RI併用が61.4%、色素単独法22.9%、RI単独法12.2%の順であった。色素の種類はインジゴカルミン65.3%、ICG27.9%、併用6.6%であった。

 同定の成功は98.6%で、精度の高さが示される結果となった。方法別、色素およびRI試薬の種類別同定成功率も、いずれも96.6%以上の高い値であった。

 迅速病理診断は85.7%に行われ、転移なしは83.7%、同日の腋窩リンパ節郭清省略例は81.5%であった。

 副作用の調査対象1709例中、色素注入による重篤な副作用は発生しなかった。

 実行委員会は今後の課題として、RI単独法や術前薬物療法後の症例などは症例数を集積して検討する必要があるSLN生検を術前非浸潤性乳管癌(DCIS)に行うか否かのサブセット研究を行う――などを挙げている。

 中村氏は本試験を継続し、来年2月には本試験の結果、特に方法や適応について詳細に議論しコンセンサスを得る会を計画していることを併せて報告した。