乳腺外科医も形成外科医も、乳癌手術後の乳房再建術に高い関心を持っているが、実施した数は少なく、今後乳房再建を増加させるには、乳腺外科と形成外科の連携が必要と考えていることが、アンケート調査の結果で明らかになった。9月26日〜27日に大阪で開催された日本乳癌学会学術総会で、大阪大学大学院医学系研究科美容医療学寄附講座の矢野健二氏らが発表した。

 乳房再建術には、乳房切除術の後に続いて行う一期的再建と、乳房切除術とは別の日に行う二期的再建がある。一期的再建は同時再建ともいわれ、乳腺外科と形成外科の連携が必要になる。

 調査では、日本乳癌学会認定施設および教育関連施設609施設と、日本形成外科学会認定施設および教育関連施設322施設に対し、乳癌治療における診療内容や乳房再建術の施行、今後の乳房再建のあり方などを盛り込んだアンケート調査を行った。

 乳腺外科からの回収率は58.5%(356施設)、形成外科は65.8%(212施設)だった。乳房再建への関心は、乳腺外科では全回答施設のうちの95.8%、形成外科は98%と高かった。

 しかし実際には、一期的再建の年間症例数は0例あるいは1〜10例と答えた施設が大半を占め、二期的再建もほぼ同様の結果だった。

 形成外科に対し、「一期的乳房再建が普及しない理由」を尋ねたところ、「乳腺外科医からの紹介がない」と答えた施設が最も多く、続いて「患者が再建についての情報を知らない」「再発の可能性がある」「患者が希望しない」などだった。

 「今後、乳房再建を増加させるために必要な要因」についての質問では、乳腺外科からは「形成外科医との連携」(73%)、形成外科医からは「乳腺外科医との連携」(84.4%)が最も多く、連携の重要性が示されていた。

 2番目に多かったのは、乳腺外科、形成外科ともに、「インプラント(人工乳房)の保険適応」だった。再建方法は、広背筋や腹直筋など自分の組織を使う自家組織法と、インプラントを挿入する方法がある。自家組織法は保険の対象だが、インプラント法ではシリコンなどを使う場合は保険の対象外になる。

 今回の調査で、インプラント法は「今後増加すると考える乳房再建方法」と答えた形成外科医が多かった。米食品医薬品局(FDA)は2006年11月にシリコンの乳房インプラントを認可した。国内でもインプラントの安全性について検証を進め、再建方法の選択肢を増やすことも、乳房再建の実施を広げる道筋になるだろう。