乳癌診断のIT化は、高品質の読影や画像管理、遠隔診断支援システムを可能にする。9月26・27日に大阪市で開催された第16回日本乳癌学会学術総会のモーニングセミナーで、乳癌診断のIT化に早くから取り組み成功している特別医療法人博愛会の相良吉昭氏が講演した。

 同会は、乳癌の検診、診断、治療を行う専門病院の集合体。乳腺科を中心に22人の医師が常勤し、乳腺専門病棟は60床、1日の乳腺外来患者数は平均284人である。

 乳癌診断に対する国の施策はアナログからデジタルに進んでいる。2005年以降、検診マンモグラフィ撮影装置、CAD、遠隔支援システムに補助金が設定され、2008年の診療報酬改訂でデジタル映像化処理加算は乳房撮影で60点から15点に減点された(平成21年度から廃止)。一方、電子画像管理加算は乳房撮影で60点が新設されている。つまりX線フィルムからスキャナーやデジタイザーで画像をデータべースに入力するのではなく、最初からデジタル画像データを撮影してモニター上で診断する方法へと誘導していることになる。

 これらの点から、マンモグラフィはソフトコピー診断(機器の特性を理解した上でのモニター診断)に移行する考えられる。同会では2003年にデジタルマンモグラフィ(FFDM)とCADを搭載した検診バスを導入。その後専属SEを採用し、施設検診でもすべてFFDM、フィルムレスのソフトコピー診断とした。2007年にはマンモグラフィ遠隔読影システムの運用を開始。2008年にはマンモトーム(MMT)も導入し、外来マンモグラフィをモニター診断に移行している。

 検診におけるデジタルマンモグラフィの有用性はすでに証明され、推奨されている。FFDM+CADにより、高品質な読影が可能となり、画像管理・転送・過去比較が容易となる。さらに遠隔診断支援システムが可能となり、事業として確立できる。同氏は毎日午後を読影に当て、他院からの依頼も含め1日100症例を担当するという。

 相良氏は、高額の費用が懸念されるIT化の初期投資については、各診療スタイルに合わせた組み合わせから開始すればよく、ソフトコピー診断はすぐにも実現が可能とした。「診療報酬改定とのベクトルを合わせるためにも、乳癌診断のIT化を考えている施設はできるだけ早期に導入することを勧める」と相良氏は話した。