悪性度と予後不良であることから、放射線照射を併用した若年者乳癌乳房温存療法では、より積極的な全身療法が必要になりそうだ。9月26・27日に大阪市で開催された第16回日本乳癌学会学術総会のワークショップで、生存率と局所再発率に注目した検討から、大船中央病院乳腺センター(外科)の大渕徹氏が報告した。

 対象は、1983〜2008年2月までに同院を受診した初発乳癌患者で放射線を併用(ブースト照射は除外)し、乳房温存術を施行したステージ1から3の2802人。35歳未満の若年者は158人(5.6%)、内訳はステージ1が48人、2が94人、3が16人であった。

 患者背景の特徴として、治療後の出産は35歳未満24人(15%)、35歳以上11人(0.4%)、ステージ3の割合はそれぞれ10%と6%であった。エストロゲン受容体陽性の割合は35歳未満51%、35歳以上67%、HER2陽性の割合はそれぞれ7%と14%であった。

 治療背景として、化学療法施行は35歳未満の91%が35歳以上の74%を上回り、逆にホルモン療法は前者の6%を後者の36%が上回った。

 観察期間中央値は83.7カ月。5年と10年の全生存率は、35歳未満で81%と71%、35歳以上で93%と85%と若年者で有意に不良だった。また、遠隔無再発生存率(ステージ1)、断端陰性例および断端陽性例での乳房内再発率も35歳未満で有意に高かった。

 多変量解析による乳房内再発の危険因子は、若年齢、閉経、断端陽性、Scratch Cytologyであった。

 これらの結果から、若年者乳癌は悪性度が高く、予後不良の傾向にあることが示された。「若年者乳癌では全身療法を積極的に行う必要がある。乳房内再発率も高く、インフォームドコンセントに配慮が必要」と大渕氏は述べ、断端陰性でも今後ブースト照射を行う可能性も示唆した。