FEC(5-FU/エピルビシン/シクロフォスファミド)の投与を受けた後にドセタキセルの術前化学療法を受けた乳癌患者のうち、トポイソメラーゼIIα(TOPO2A)の遺伝子が増幅している患者は、術前化学療法の効果が高い可能性が明らかになった。TOPO2Aは、アントラサイクリン系抗癌剤の標的酵素であり、TOPO2Aが増幅していない患者では、他のレジメンによる術前化学療法を受ける方が良い可能性があるという。成果は、9月26日から27日に大阪市で開催された日本乳癌学会で東京都立駒込病院の堀口慎一郎氏によって発表された。

 多施設共同研究であるJBCRGTR01に登録されたFEC投与後ドセタキセルの術前化学療法を受け、そして手術を受けた181人を対象に針生検と手術で得られた標本を用い、FISH法でTOPO2Aの状態を調べ、術前化学療法の効果との関連を調べた。

 全体の病理学的完全寛解率は12.2%だった。FISH法でTOPO2Aが増幅していた患者は17人(12.6%)、TOPO2Aが正常な患者が160人(86.3%)、TOPO2Aが欠失した患者は4人(1.1%)だった。181人の中にはTOPO2Aの近傍にある遺伝子であるHER2も増幅している患者が13人、HER2は正常な患者が4人で、TOPO2AとHER2の過剰発現には有意な相関関係が認められた。

 TOPO2Aが増幅している患者では、術前化学療法が有効(グレード2、グレード3)な患者は11人で、無効(グレード0から1b)は6人だったのに対して、増幅していない患者では有効な患者が48人だったのに対して、無効な患者が112人だった。TOPO2Aが欠失している4人のうち3人が有効だった。また、TOPO2Aが増幅し有効だった11人のうちHER2遺伝子も増幅している患者は8人だった。TOPO2Aの増幅、欠失と病理学的治療効果に相関関係が認められた。

 無病生存期間と全生存期間はTOPO2Aが増幅している患者で延長される傾向が認められた。HER2は正常な患者で無病生存期間と全生存期間が延長される傾向が認められた。

 また、HER2が増幅しておりTOPOA2が欠失または正常な群は、HER2が増幅しておりTOPO2Aが増幅している患者よりも無病生存期間が短い傾向も認められ、HER2とTOPOA2の遺伝子解析によってHER2遺伝子増幅群をサブグループ化できる可能性も示唆された。