福岡赤十字病院の澤山泰典氏

 スタチン投与によっても十分なLDLコレステロール(LDL-C)のコントロールが得られない脂質異常症患者に対し、エゼチミブとスタチンの併用はスタチン増量に比べて、心血管イベントの予測因子とされる頸動脈内膜中膜複合体肥厚(IMT)をより大きく改善する可能性が示された。7月19、20日に福岡で開催された第44回日本動脈硬化学会(JAS2012)で、福岡赤十字病院の澤山泰典氏らが発表した。

 脂質異常症の薬物療法の中心となるスタチン療法を施行しても十分な脂質のコントロールが達成できない場合、スタチンの増量とともに、小腸からのコレステロール吸収抑制というスタチンとは異なる機序でコレステロールを低下させるエゼチミブの併用が普及しつつある。澤山氏らは、スタチンとエゼチミブの併用が頸動脈IMTに与える影響が十分に検討されていないことに着目し、多施設共同試験を実施した。

 対象は、プラバスタチン5〜10mg/日を3カ月以上投与してもLDL-C 120mg/dL未満を達成できなかった脂質異常症患者60例(平均年齢63.1歳)。これらの患者を、プラバスタチン10〜20mg/日への増量群(27例)と、既存の用量のプラバスタチンにエゼチミブ10mg/日を追加する併用群(33例)に無作為に割り付け、頸動脈IMTと脂質プロファイルの変化を2年間にわたり前向きに比較検討した。

 年齢、性、BMI血圧値、喫煙率、糖尿病および高血圧の罹病率等の患者背景は、両群間に差はなかった。

 エゼチミブ併用群と増量群のベースラインの総コレステロール(TC)は236±33mg/dLと224±34mg/dL、トリグリセライド(TG)は136±43mg/dLと129±79mg/dL、HDLコレステロール(HDL-C)は59±13mg/dLと57±16mg/dL、LDL-Cは145±24mg/dLと133±26mg/dL、non HDL-Cは175±33mg/dLと167±32mg/dLで、いずれも両群に有意差はなかった。このほかL/H比、空腹時血糖、HbA1c、HOMA-IRにも差はなかった。

 フォローアップの結果、頸動脈IMTの変化をみると、エゼチミブ併用群と増量群のいずれも投与12カ月後には有意な低下が示された(P<0.05、P<0.01)。さらにエゼチミブ併用群では、ベースラインの1.09mmから24カ月後には1.01mmへと有意に低下した(P<0.01)。一方、増量群では、ベースラインの1.11mmから24カ月後には1.08mmに低下したが、有意差は認めなかった。両群のIMTのベースラインから24カ月後までの変化率は、エゼチミブ併用群が増量群に比べ、有意に大きかった。

 LDL-Cは、エゼチミブ併用群では投与3カ月後にはベースラインに対して有意に低下し(P<0.01)、その後も低下して24カ月後には25.1%の有意な低下が示された(P<0.001)。増量群では投与12カ月後にベースラインに対する有意な低下が示され(P<0.05)、24カ月後には6.3%の有意な低下が示された(P=0.026)。ベースラインから24カ月後までの変化率は、エゼチミブ併用群が増量群に対して有意に大きかった(P<0.001)。

 TGは、両群ともに大きな変化はなかったが、エゼチミブ併用群の24カ月後の値はベースラインに比べて有意に低値だった(P<0.05)。両群の変化率では、エゼチミブ併用群が低下傾向、増量群が増加傾向を示したが、両群間に有意な差は認められなかった。

 HDL-Cは、エゼチミブ併用群で3カ月後に有意に増加し(P<0.05)、24カ月後にも有意な増加が継続した(P<0.01)。増量群では6カ月後にいったん有意に増加したが(P<0.05)、24カ月後にはベースラインとの間に有意な差が認められなかった。ベースラインからの変化率については、エゼチミブ併用群が増量群に対してより大きな増加傾向を示したが、有意差はなかった。

 non HDL-Cについては、エゼチミブ併用群で3カ月後に有意に低下し(P<0.01)、その後も低下して、24カ月後にはより大きく有意な低下が示された(P<0.01)。増量群では、6カ月後に有意な低下が示され(P<0.05)、24カ月後も有意な低下が維持された(P<0.01)。両群の変化率は、エゼチミブ併用群が増量群に比べて有意に大きかった(P<0.001)。

 澤山氏は、「低用量プラバスタチンとエゼチミブの併用はプラバスタチンの増量に比べてLDL-C低下効果が有意に大きく、頸動脈における動脈硬化の進展抑制にもより優れることが2年間の検討で明らかになった」とまとめた。

(日経メディカル別冊編集)