台湾National Taiwan University HospitalのTa-Chen Su氏

 子どもの頃にBMIが高く、成人後も過体重あるいは肥満が認められると、前高血圧・高血圧のリスクが高まり、頸動脈内膜中膜肥厚(IMT)値が相対的に高いことが示された。台湾National Taiwan University HospitalのTa-Chen Su氏らが、台湾人を対象に検討した結果を、7月19、20日と福岡で開催された第44回日本動脈硬化学会(JAS2012)で報告した。

 台湾では1992〜2000年に、7〜18歳の子ども(平均年齢12.5歳)を対象とした全国規模の尿スクリーニングプログラムが実施された。その平均9年後の2006〜2008年にかけて、同プログラムの対象者に本研究への参加を打診し、了解が得られ、さらに血液検査、尿検査、頸動脈IMT検査を完了した790例(平均年齢21歳)を今回の検討対象とした。

 対象者の成人期BMIで21kg/m2未満群(395例)、21kg/m2以上24kg/m2未満群(219例)、24kg/m2以上27kg/m2未満群(98例)、27kg/m2以上群(78例)の4群に分けて検討。その結果、心血管リスク因子の保有率は、BMIが高い群になるほど、高血圧、糖尿病、総コレステロール/HDLコレステロール比が5以上、ApoB/ApoA1比が75パーセンタイル以上である割合が有意に高くなっていた(いずれもP<0.0001)。また、小児期のBMIと成人期のBMIの間には正の相関性が認められた(R2=0.551)。

 次に、小児期および成人期BMIと前高血圧・高血圧の有病率との関連について検討した。小児期BMIが85パーセンタイル未満かつ成人期BMIが24kg/m2未満の群を対照とした場合、前高血圧あるいは高血圧のオッズ比は、小児期BMIが85パーセンタイル未満では、成人期BMI24〜27kg/m2の群は1.48(95%信頼区間:0.72-3.02)と有意ではなかった。だが、27kg/m2超群は3.12(同:1.07-9.10、P<0.05)と有意なリスクだった。また、小児期BMIが85パーセンタイル以上では、成人期BMI24kg/m2未満群は1.03(同:0.33-3.20)と有意ではなかった。しかし、24〜27 kg/m2群は2.99(同:1.44-7.68、P<0.01)、27 kg/m2超群では5.58(同:2.70-11.54、P<0.005)といずれも有意なリスクだった。

 同様に、小児期および成人期BMIと頸動脈IMTとの関連について検討したところ、小児期BMIが85パーセンタイル未満だと、成人期BMIと頸動脈IMTリスク(頸動脈IMTが75パーセンタイル以上であること)との間に関連性は認められなかった。しかし、小児期BMIが85パーセンタイル未満かつ成人期BMIが24kg/m2未満の群を「1」とすると、小児期BMIが85パーセンタイル以上では、成人期BMI24〜27kg/m2群はオッズ比が2.99(95%信頼区間:1.37-6.52、P<0.01)、27kg/m2超群は3.33(同:1.65-6.74、P<0.005)と、ともに有意なリスクだった。

 以上の結果からSu氏は、「小児期に過体重であった子どもは、成人期も過体重あるいは肥満であれば、前高血圧・高血圧であるリスクが高まるだけでなく、頸動脈IMTが相対的に肥厚していることが示された」と結論し、「心血管疾患の発症予防には、過体重や肥満を特に子どもの頃から防ぐことが重要だ」と語った。

(日経メディカル別冊編集)