大阪大学大学院内分泌・代謝内科学の樫根晋氏

 睡眠時無呼吸症候群に代表される睡眠呼吸障害は、腹囲を減少させると改善する可能性のあることが、教育入院中の2型糖尿病患者を対象とした検討から明らかになった。大阪大学大学院内分泌・代謝内科学の樫根晋氏らが、7月15日から札幌市で開催されていた日本動脈硬化学会JAS2011)で報告した。

 樫根氏らは昨年、2型糖尿病患者に睡眠呼吸障害を多く認めることを既に報告している。今回は、その背景因子に関する検討を試みた。対象は同大学医学部附属病院内分泌・代謝内科に血糖コントロールのために教育入院した2型糖尿病患者40人(男性21人、年齢56.6±2.2歳)。入院直後と退院直前に携帯型ポリソムノグラフィ(PSG:Polysomnography)を用いて睡眠呼吸障害について評価した。PSG検査を実施した翌朝には、身体検査および血液検査を実施した。

 患者背景を見ると、体重は78.2±3.3kg、BMIは29.1±1.1kg/m2、首の周囲径は40.5±0.5cmだった。腹囲については、男性が95.0±3.0cm、女性が105.4±4.5cm。また、糖尿病の罹病期間は11.8±1.4年、HbA1c(JDS値)は9.0±0.4%、短期的な血糖値の指標である1,5-AGは6.3±1.0μg/mLだった。合併症はメタボリックシンドロームが29人、高血圧が24人、脂質異常症が28人に認められた。

 睡眠呼吸障害の判定には無呼吸低呼吸指数(AHI:Apnea-hypopnea Index)を用い、睡眠1時間当たりの低呼吸または無呼吸が5回を超えた場合とした。入院直後の検査では40人中36人に睡眠呼吸障害を認め、内訳は重症(AHI>30)が14人(35%)、中等症(15<AHI≦30)が10人(25%)、軽症(5<AHI≦15)が12人(30%)だった。

 退院時には、体重が73.8±3.3kg、BMIが27.3±1.1 kg/m2に、腹囲は男性92.2±3.4cm、女性102.8±4.1cmであり、それぞれ有意に減少していた(順にp<0.01、p<0.05、p<0.05、p<0.05)。HbA1c(JDS値)は8.3±0.4%と有意に下降し、1,5-AGは8.3 ±0.9μg/dLに有意に上昇していた(順にp<0.01、p<0.05)。

 AHIに関しては、入院時の25.6±4.3回/時から21.1±3.9回/時に有意に減少した(p<0.01)。入院直後のAHIについてステップワイズ多変量回帰分析を行ったところ、BMIと腹囲が独立した有意な因子として抽出された(ともにp<0.01)。

 入院時と退院時におけるAHIの変化量との相関を見ると、BMIと1,5-AGの変化量では有意な相関が認められなかったが、腹囲の変化量とは有意な正相関が認められ(r=0.53、p<0.01)、腹囲が減少すると睡眠呼吸障害が改善される可能性が示唆された。

 以上の結果を受け、樫根氏はBMIと腹囲は独立してAHIと相関し、腹囲の減少量とAHIの減少量との相関も認められたことは、BMIより腹囲の改善が重要であることの示唆とも考えられると述べた。

(日経メディカル別冊編集)