東北大学腎・高血圧・内分泌科の佐藤文俊氏

 スタチンで治療中のメタボリックシンドローム(MetS)合併脂質異常症患者へのエゼチミブの追加投与は、血清脂質値の改善をもたらすだけでなく、酸化ストレスを著明に軽減することが示された。7月15日から16日まで開催された日本動脈硬化学会JAS2011)において、東北大学腎・高血圧・内分泌科の佐藤文俊氏らが報告した。

 MetSは動脈硬化性疾患の危険因子であり、MetSを有する脂質異常症患者では、厳格な脂質低下療法が求められる。佐藤氏らは、MetS合併脂質異常症患者のうち、スタチン治療によっても「動脈硬化性疾患予防ガイドライン2007」のLDL-C管理目標値に未到達の77人を対象に、エゼチミブの追加投与の有効性と安全性とともに、酸化ストレスへの影響を検討した。

 登録時の患者背景は、平均年齢56.4歳、BMIは29.4と肥満傾向が見られた。血清脂質値は、総コレステロール(TC)値が228mg/dL、LDLコレステロール(LDL-C)値が140mg/dL、HDLコレステロール(HDL-C)値は51.5mg/dL、トリグリセリド(TG)値が204mg/dLで、non HDL-C値は177mg/dL、LDL-C/HDL-C比が2.83だった。

 これらの患者に対し、エゼチミブの追加投与を行い、12週間にわたって追跡した。その結果、登録時と比べた血清脂質値の低下率は、TC値が17%、LDL-C値が21%、TG値が15%、non HDL-C値が22%、LDL-C/HDL-C比が21%と、有意差が認められた(すべて、p<0.001)。HDL-C値には、変化は認められなかった。

 酸化ストレスの指標の1つで、体内の過酸化脂質を反映する血中チオバルビツール酸反応物質TBARS)量は、登録時の9.40nmol/mLからエゼチミブ投与後には5.46nmol/mLへと著明に低下していた(-42%、p<0.001)。高分子量アディポネクチン(HMW-Ad)は増加傾向を示したが、有意差は認められなかった。

 追跡期間中に問題となる有害事象は認められず、肝機能異常を示すγ-GTP、GOT、GPTやLDH、CKなどの生化学検査値にも有意な変化は認められなかった。

 これらの結果より、スタチンで治療中のMetS合併脂質異常症患者に対するエゼチミブの追加投与は、忍容性が良好で、脂質代謝のさらなる改善をもたらすのみならず、酸化ストレスを低下させる可能性が示唆された。

 佐藤氏は、「メタボリックシンドロームというハイリスクな病態を伴う脂質異常症患者の場合、スタチンによる治療で、ある程度の血清脂質低下を得られたとしても、厳格な管理を目指したエゼチミブの追加投与は、酸化ストレスを低下させるという点で大きな意味がある。長期に観察を継続していくことで、エゼチミブの酸化ストレス低下作用が、より明確になってくると思われる」と述べた。

 酸化ストレスが低下する機序について佐藤氏は、「エゼチミブの作用機序を考えると、体内における抗酸化能の増強を促すというよりむしろ、加工食品摂取による酸化脂質の吸収が抑制された結果による可能性がある」との見解を示した。

(日経メディカル別冊編集)